高山植物

森林限界を超えるような高山帯だけに生育する植物のことを高山植物といいますが、実際には亜高山帯に生育する植物も含めることが多いです。

北海道などの北方においては低地に生えていることも多く、標高500mに満たない礼文島が「高山植物」の宝庫だったりします。

また、アラスカやシベリアの低地平原には日本の高山植物に該当する種類が数多く生えていたりします。

「高山植物」にきっちり厳密な定義は無いので、実際には、日本の高山や亜高山に分布する北方系植物、とでもいうしかないかもしれません。


氷河期には全世界的に陸氷が膨大に増えることにより相対的に海水が減り、海岸線が広がることによって列島が大陸と陸続きになったため、植物も分布域を広げ渡ってきたと考えられます。

基本的に、シベリアなどの北方寒冷地の植物が氷河期に日本の温暖帯まで進出し、氷河期が終わるとまた北方に撤退し、その際に寒冷な高地に取り残されたものとされます。

ただ、氷河の進出は大小何度か繰り返されその程度も違うので、結果として特定の山域にだけ生育する植物ができたり、本州の高山と北海道の種類が違ったりします。

そしてまた、氷河期が終わることによって日本海の温度が上がり、それによって却って豪雪地帯ができるなど、複雑な要因がからんでいろいろな高山植物が生まれたと考えられます。

高山植物

ミヤマクロスゲ

ミヤマクロスゲ (カヤツリグサ科スゲ属)【深山黒菅】 (Carex flavocuspis) 北海道、本州中部以北の高山帯の草地や砂礫地に生育します。 「カンスゲ」など、区別のつけづらいスゲ類はみな似ていますが、これは葉が明るい色でやや柔ら...
高山植物

ハクサンボウフウ

ハクサンボウフウ (セリ科カワラボウフウ属)【白山防風】 (Peucedanum multivittatum) 高山帯や亜高山帯の草地に生え、他のセリ科類似種よりやや小型です。 「ミヤマゼンコ」などにも似ていますが、花序が茎の上部で枝分かれ...
高山植物

イワインチン

イワインチン (キク科キク属)【岩茵陳】 (Chrysanthemum rupestre) 別名:インチンヨモギ 亜高山帯から高山帯の日当たりの良い草地や岩礫地に生育し、黄色い頭花を多数咲かせます。 花は全て筒状花で舌状花は無く、花だけ見る...
6月

エゾウスユキソウ

エゾウスユキソウ (キク科ウスユキソウ属)【蝦夷薄雪草】 (Leontopodium discolor) 別名、レブンウスユキソウ 礼文島やニペソツ山など、北海道の限られた地域に限定的に生育するウスユキソウです。 葉は茎の下部に10-20度...
高山植物

イワショウブ

イワショウブ (チシマゼキショウ科チシマゼキショウ属)【岩菖蒲】 (Triantha japonica) 別名:ムシトリゼキショウ 細長い花茎の先に白い花序をつけ、夏の終りの湿原を彩る可憐な花です。 亜高山の湿原や高山の雪田の縁などに多く見...
大雪山

キタヨツバシオガマ

キタヨツバシオガマ (ハマウツボ科シオガマギク属)(旧ゴマノハグサ科)【北四葉塩竈】 (Pediculasis chamissonis var. hokkaidoensis) 別名:ハッコウダシオガマ 「ヨツバシオガマ」は従来ひとつの種類と...
高山植物

トモエシオガマ

トモエシオガマ (ハマウツボ科シオガマギク属)(旧 ゴマノハグサ科)【巴塩竈】 (Pedicularis resupinata subsp. teucriifolia) 半寄生性の多年草で「シオガマギク」の亜種または変種とされています。 花...
高山植物

オヤマリンドウ

オヤマリンドウ (リンドウ科リンドウ属)【御山竜胆】 (Gentiana makinoi) 夏の終わりから秋口に、中部地方以北の山地から亜高山帯で草地や林縁に咲く小型のリンドウです。 花は茎の上部のほうにだけ数個つき、花弁は5裂しますがすぼ...
高山植物

ミヤマダイモンジソウ

ミヤマダイモンジソウ (ユキノシタ科ユキノシタ属)【深山大文字草】 (Saxifraga fortunei var. alpina) 「ダイモンジソウ」の高山型品種とされ、高山帯の湿った岩場などに生える矮性種です。 葉はすべて根生で毛が少な...
高山植物

カトウハコベ

カトウハコベ (ナデシコ科ノミノツヅリ属)【加藤繁縷】 (Arenaria katoana) 生育地の至仏山ではたくさんある「ホソバツメクサ」の花に似ていて、かつ同じようなところに生えていますが、個体数は少ないので探すのに意外と難渋します。...
高山植物

キンロバイ

キンロバイ (バラ科キンロバイ属)【金露梅】 (Dasiphora fruticosa) 亜高山帯から高山帯に生える低木ですが、主に蛇紋岩地や石灰岩地に生育し分布する山域が限られます。 北海道の崕山、芦別岳、アポイ岳、本州では早池峰山、焼石...
高山植物

ミヤマイ

ミヤマイ (イグサ科イグサ属)【深山藺】 (Juncus beringensis) 別名:タテヤマイ 北海道~本州中部以北に分布し、亜高山や高山帯の湿原や湿地に生える高山性の「イグサ」です。 地下の根茎から地上部を多数出し群生する形になりま...
高山植物

ホソバコゴメグサ

ホソバコゴメグサ (ハマウツボ科コゴメグサ属)(ゴマノハグサ科)【細葉小米草】 (Euphrasia insignis subsp. insignis var. japonica) 関東地方北部から東北地方の一部に分布、実際上は尾瀬、谷川岳...
高山植物

ハクサンサイコ

ハクサンサイコ (セリ科ミシマサイコ属)【白山柴胡】 (Bupleurum nipponicum) 別名:トウゴクサイコ 本州中北部に分布し、亜高山帯から高山帯の草地に生育します。 セリ科の一般的な花とは趣が異なり、ちょっとトウダイグサ系の...
6月

ヒメシャクナゲ

ヒメシャクナゲ (ツツジ科ヒメシャクナゲ属)【姫石楠花】 (Andromeda polifolia) シャクナゲといっても一属一種の特殊な湿原植物で、極小サイズのシャクナゲです。 「エゾノツガザクラ」などのツガザクラ類の花の、葉をミニサイズ...
6月

シロバナタテヤマリンドウ

シロバナタテヤマリンドウ (リンドウ科リンドウ属)【白花立山竜胆】 (Gentiana thunbergii var. minor f. ochroleuca) 名前の通りに「タテヤマリンドウ」の白花品種です。 そもそも、地域によってはほと...
6月

ムカゴトラノオ

ムカゴトラノオ (タデ科イブキトラノオ属)【零余子虎の尾】 (Bistorta vivipara) イブキトラノオ属ということで、「イブキトラノオ」のような姿ですが「オオバコ」ぐらいの大きさしかありません。 茎先にひとつだけつける穂状花序に...
高山植物

メコノプシス・グランディス

メコノプシス・グランディス (ケシ科メコノプシス属) (Meconopsis grandis)「ヒマラヤの青いケシ」 「メコノプシス属(Meconopsis)」は、ネパール、ブータン、インド、パキスタン、中国などのヒマラヤ山脈周辺、および中...
高山植物

プリムラ・ビアリー

プリムラ・ビアリー (サクラソウ科サクラソウ属)【穂咲桜草】 (Primula vialii) 原産地は中国の四川省や雲南省で、標高2,800~4,000mの湿地や谷沿いに咲く高山植物です。 円錐形の独特な花序ですが、意外なことに「サクラソ...
高山植物

ノモカリス・フォレスティ

ノモカリス・フォレスティ (ユリ科ノモカリス属) (Nomocharis forrestii) 中国の雲南省北西部から四川省南西部にかけて分布する多年草。 標高3000~3800mの林下に咲く球根性の高山植物です。 茎上部の葉腋から大きな花...
高山植物

ミヤマトウキ

ミヤマトウキ (セリ科シシウド属)【深山当帰】 (Angelica acutiloba subsp. iwatensis) 漢方薬の原料として知られる「トウキ(当帰)」の高山型で、亜高山帯や高山帯の岩礫地に生える高山植物です。 紛らわしいも...
高山植物

ハクサンタイゲキ

ハクサンタイゲキ (トウダイグサ科トウダイグサ属) (Euphorbia togakusensis) 別名:ミヤマノウルシ 深山や高山帯に生育するトウダイグサで、中部地方から東北の山地の主に日本海側に分布します。 枝先の葉は輪生状になり、中...
高山植物

オヤマソバ

オヤマソバ (タデ科オンタデ属)【御山蕎麦】 (Aconogonon nakaii) ソバの名がついていますが、類似の「オンタデ」「ウラジロタデ」と並んでオンタデ属の高山のタデです。 北海道、東北の一部と北アルプスに分布します。 岩場や砂礫...
高山植物

ミヤマイワニガナ

ミヤマイワニガナ (キク科タカサゴソウ属)【深山岩苦菜】 (Ixeris stolonifera var. capillaris) 「イワニガナ(ジシバリ)」の高山型とされ、本州中部以北から八甲田山にかけて亜高山から高山帯の岩礫地に生えてい...
高山植物

タカネクロスゲ

タカネクロスゲ (カヤツリグサ科アブラガヤ属)【高嶺黒菅】 (Scirpus maximowiczii) 別名:ミヤマワタスゲ 本州中部以北から北海道の高山帯に生育するカヤツリグサです。 やや湿気のある場所に生えるようです。 楕円形の黒っぽ...
高山植物

ムシトリスミレ

ムシトリスミレ (タヌキモ科ムシトリスミレ属)【虫取菫】 (Pinguicula macroceras) これは、「スミレ」の名を付けられていますが、スミレではなく、「タヌキモ科」の食虫植物です。 花の印象がスミレに似ているというだけで、よ...
6月

ミチノクコザクラ

ミチノクコザクラ (サクラソウ科サクラソウ属)【陸奥小桜】 (Primula cuneifolia var. heterodonta) 別名:イワキコザクラ 青森県・岩木山の亜高山帯の雪田周辺や湿地に生育する固有種。 「エゾコザクラ」の変種...
高山植物

エゾシオガマ

エゾシオガマ (ハマウツボ科シオガマギク属)(ゴマノハグサ科)【蝦夷塩釜】 (Pedicularis yezoensis) 高山帯の日当たりのよい草地に生える日本固有種です。 本州中部以北から北海道に分布し、低い草地から突き出すように立ち上...
高山植物

ベニバナイチゴ

ベニバナイチゴ (バラ科キイチゴ属)【紅花苺】 (Rubus vernus) 日本のイチゴの仲間で唯一赤い花をつけ、最も高所に生育するひとつで、木イチゴとして珍しく棘をもたない日本固有種です。 白山あたりから北海道南部にかけて日本海側の多雪...
高山植物

ユキワリソウ

ユキワリソウ (サクラソウ科サクラソウ属)【雪割草】 (Primula farinosa subsp. modesta) 「雪割草」の名前は、キンポウゲ科の「ミスミソウ」や「スハマソウ」の通称&園芸名となっていますが、これが正式な「ユキワリ...
高山植物

キヌガサソウ

キヌガサソウ (APG:シュロソウ科キヌガサソウ属)(ユリ科)【衣笠草】 (Kinugasa japonica) 「ツクバネソウ」や「エンレイソウ」に似た体制の花ですが、一属一種の日本固有種で、花の華麗さと特異な葉序で、はるかにインパクトの...
高山植物

クモマミミナグサ

クモマミミナグサ (ナデシコ科ミミナグサ属)【雲間耳菜草】 (Cerastium schizopetalum var. bifidum) 「ミヤマミミナグサ」の変種で、北アルプス北部の特産種。 ミヤマミミナグサにそっくりですが、花弁が2つに...
高山植物

ミヤマムラサキ

ミヤマムラサキ (ムラサキ科ミヤマムラサキ属)【深山紫】 (Eritrichium nipponicum) ムラサキ科の中でも、もっとも厳しい環境に生えるといわれる種類です。 「ヤマルリソウ」に似た「ムラサキ」の仲間の花ですが生育環境は全く...
高山植物

テガタチドリ

テガタチドリ (ラン科テガタチドリ属)【手形千鳥】 (Gymnadenia conopsea) 亜高山~高山帯の日当たりのよい草地に、にょっきりと生え大型で目立つ蘭です。 やや似ている「ノビネチドリ」とは花期や咲く場所が違うのと、より花序が...
高山植物

クモマキンポウゲ

クモマキンポウゲ (キンポウゲ科キンポウゲ属)【雲間金鳳花】 (Ranunculus pygmaeus) 「タカネキンポウゲ」と同様に、北アルプス・白馬岳周辺の限られた礫地だけに僅かに生育する、氷河期遺存と思われる希少な高山植物です。 草丈...
高山植物

ヒメハナワラビ

ヒメハナワラビ (シダ植物ハナヤスリ科ハナワラビ属)【姫花蕨】 (Botrychium lunaria) 別名:アキノハナワラビ,ヘビノシタ 亜高山から高山帯の日当たりのよい草地や岩場に生える小さな羊歯です。 1回羽状複葉の栄養葉が1枚だけ...
高山植物

タカネキンポウゲ

タカネキンポウゲ (キンポウゲ科キンポウゲ属)【高嶺金鳳花】 (Ranunculus altaicus subsp. shinanoalpinus) キンポウゲ属の花は地域特産種的なものが意外と多数あるのですが、これもそのひとつで白馬岳固有...
6月

ミヤマクワガタ

ミヤマクワガタ (オオバコ科クワガタソウ属)【深山鍬形】 (Veronica schmidtiana subsp. senanensis) 北アルプスなど中部山岳から東北、北陸の高山や亜高山に分布し、主に日本海側に多いようです。 「クワガタ...
高山植物

チョウノスケソウ

チョウノスケソウ (バラ科チョウノスケソウ属)【長之助草】 (Dryas octopetala var. asiatica) 氷河期の遺存種とされる周北極植物で、元来ツンドラ地帯などに分布する寒地植物が日本の高山帯にとり残されたものです。 ...
高山植物

ウメハタザオ

ウメハタザオ (アブラナ科ヤマハタザオ属)【梅旗竿】 (Arabis serrata var. japonica f. grandiflora) 「フジハタザオ」の変種である「イワハタザオ」の高山型とされ、東北から中部山岳に分布します。 ア...