キバナノアツモリソウ

キバナノアツモリソウ (ラン科アツモリソウ属) 【黄花敦盛草】
Cypripedium yatabeanum) キバナアツモリ

キバナノアツモリソウ

2024/06 三ツ峠

アツモリソウ属特有の、大きな袋状の唇弁をもち、独特のまだら模様が迷彩パターンのようで面白い花です。

アツモリソウ」や「ホテイアツモリ」「レブンアツモリ」「クマガイソウ」「コアツモリ」など、他のアツモリソウ属はみな袋状の唇弁の出入り口がすぼまっているのに対し、このキバナアツモリではほぼオープン状態になっています。

訪花昆虫を唇弁の袋に誘い込み、特定のルートから脱出させて受粉に携わらせるシステムからいくと、この形状では昆虫が出入り自由な感じですがどうなのでしょう。

仏像の「光背」のような苞葉を立て、背萼片は白色でこげ茶色の縁取りがあり、側花弁と唇弁には茶色いまだら模様があります。

本来2枚の側萼片は合着して1枚となり、唇弁を後ろから支える感じに隠れています。

花茎、苞葉、萼片ともに細かい毛が生えています。

葉は幅広で「ギボシ」などに似た感じで大きく、しっかり光合成しそうで菌根菌への依存度は低そうな感じがします。

日本の野生ランの中でも、「ホテイアツモリ」など、アツモリソウの仲間は特定国内希少野生動植物に指定され、盗掘や不法譲渡販売に対しては懲役刑もあるほどとなっています。

本州中部以北と北海道に分布。

環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類(VU)

キバナノアツモリソウ

2024/06 三ツ峠

キバナノアツモリソウ

2024/06 三ツ峠

キバナノアツモリソウ

2024/06 三ツ峠


以前、機会があってシンガーのみなみらんぼうさんと、その山仲間の皆さんの山行にお供させてもらったことがある。
南アルプス前衛の櫛形山で、アヤメ平という花の名所があり、その他にも山野草のたいへん豊富で有名なところ。

当時、アルプスの高山植物はある程度知っていたが、いわゆる山野草の知識はほとんど無く、らんぼうさんの植物の博識にひたすら感心していた。

その時に見た希少な花が、この「キバナノアツモリソウ」。

花を知っている皆さんは、もちろんこれをお目当てにやってきたのだが、無知とは恐ろしいもので、その時は「へんてこな花だなあ」ぐらいの認識しかなかった。
それでも興味はあるので、当時出始めのデジカメで写真だけ撮っておいたのだが、今となっては貴重な記録となってしまった。

現在、櫛形山に自生するキバナノアツモリソウは、鹿の食害によってアヤメ平が壊滅的になってしまったのと連動して、おそらく絶滅したのではないかと言われている。

キバナノアツモリソウ

1998年6月 櫛形山

キバナノアツモリソウ

1998年6月 櫛形山

キバナノアツモリソウ

1998年6月 櫛形山

1998年6月 櫛形山

1998年6月 櫛形山


キバナノアツモリソウ

蕾  2019/06/05 入笠山(植栽)

キバナノアツモリソウ

蕾  2019/06/05 入笠山(植栽)

【Youtube 山川草木図譜チャンネル】

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