サルスベリ (ミソハギ科サルスベリ属)【百日紅】【猿滑】
(Lagerstroemia indica)
酷暑炎天の街路に鮮やかな色彩を与えてくれる、花木の少ない時季に貴重なお馴染みの花です。
たいへん開花期間が長く、別名の通り100日前後も咲き続けますが、ひとつの花はほぼ一日で萎んでしまう一日花で、次々と多くの花が開花し続けます。
花弁がたいへんごちゃごちゃしているので、構造がとても判りにくいですが、調べてみるととてもユニークな花です。
ピンク色の細柄の先にひらひらしている花弁がひとつの花かと思っていましたが、これが一枚の花弁であり、この柄が6-7本放射状に突き出ているのが一個の花なのです。
その中心部には雌しべが1本あり、黄色く目立つ短い雄しべがたくさんあります。
ところがこれは花粉を出さない偽雄しべで、その周りに6-7本の長く目立たない本物の雄しべがあります。
サルスベリは虫媒花で、ひらひらのフリル状の派手な花弁で虫を呼び、やってきた虫を黄色い偽雄しべで引き付けて身体に花粉をつけさせるという作戦です。
これは「ツユクサ」の受粉戦略と全く同じで、いわばツユクサの花が6-7個セットになっているようなものです。
猿も登れないというつるつるした幹は薄皮が徐々に剥がれてできるもので、生えてから7-8年経過した後のようです。
これは他の蔓性植物に絡みつかれないための防御策という面があるそうです。
小枝が長く突き出して伸びるのも特徴ですが、ここに生える丸っこい葉は2枚づつ互生になる「コクサギ型葉序」となります。