キッコウハグマ (キク科モミジハグマ属)【亀甲白熊】
(Ainsliaea apiculata)
「カシワバハグマ」や「オクモミジハグマ」などの「ハグマ」の名の付く仲間の中でも小さな種類で、林内の木陰にひっそりと咲いています。
葉が五角形の独特な形で地面に放射状にロゼット状に生えるので、花が無くてもわかりやすい草です。
花は小さな純白の風車のような形で、花弁の先が一方に丸まっていてとても印象的。
ハグマ類の中でも筆頭格の可愛い花で、一度見たら忘れられないような花です。
しかし、この植物は花期にも閉鎖花となることが多く、意外と開花が少ないものだそうです。
この風車は15弁の丸い花に見えますが、実は5弁の扇形の花が3個1セットになって成り立っています。
いろいろ情報を収集したところ、狭山丘陵のキッコウハグマはだいたい閉鎖花が多いとのこと。
しかし、開花している率の高い場所があることを突き止め、わりと近いので早速見に行ってきました。
とても湿度の高い湿地周辺の林内のあちこちに、合計数十個咲いているのを見られました。
ひとつの株に最大3-4個、多くは1-2個の花がついています。
しかし、やはり閉鎖花だけたくさんつけている株が多く、その違いは日当たりとか場所によるものではなさそうです。
どうも、花の開花している株は花茎が小さいものが多く、花茎が長く伸びたものはまず閉鎖花が多いようなのです。
薄暗い林内で、植物体が大きくなるためにエネルギーを費やした株は開花のエネルギーが足りないのでしょうか。
または、多年草なので若い株は受粉のために開花し、次からは自家受粉で構わないということでしょうか。
もうひとつ謎なのは、この独特の風車型の花が、みな右回り(花弁の先端が右曲がり)なのは何故でしょうか。
逆回りの花があってもよさそうなものですが、ネットの画像検索でも逆は無さそうです。
折りたたまれた蕾から開花するときの、たたまれ方と伸ばし方で決まっているのでしょうけれど、どういうメカニズムでこういう形になるのか知りたいところです。
ちなみに、兄弟分とも思える「エンシュウハグマ」では逆回転となっています。
Youtube山川草木図譜チャンネル動画 【キッコウハグマ】