ヤブツバキ (ツバキ科ツバキ属)【藪椿】
(Camellia japonica)
ツバキには無数の園芸品種がありますが、それらの元締めなる原種(野生種)が「ヤブツバキ」または亜種の「ユキツバキ」。
基本の花は花弁が5枚で、その付け根は合着し、束になった多数の雄しべも付け根が合着します。
そのため、花が散る際には花の固まりごと落ち、花びらがばらばらに散る「サザンカ」との見分けになります。
首が落ちるようなので武士が嫌ったという話が有名ですが、これは明治時代以降の都市伝説のようです。
蕊が筒状に合着していることで、その付け根に大量の蜜が溜まり「ヒヨドリ」や「メジロ」などが密を吸いに来ます。
その際に嘴や顔に花粉が付き、受粉に貢献するため「鳥媒花」といわれます。
鳥媒花のツバキの花は、鳥の眼に一番目立つ赤で余計な模様や蜜標などは無く、虫に蜜を盗まれず鳥も餌の少ない冬に咲く道を選んだようです。
ツバキ科は南方系の植物で日本が北方限界ということですが、ヤブツバキは日本原産です。
ヤブツバキは照葉樹林の構成樹種で東京近郊の里山にも多く見られますが、人為的に植えられたもの由来が多く、元来の自生かどうかはよく判りません。
狭山丘陵の中でもここのヤブツバキは自生であると考えられているようです。