オオミスミソウ

オオミスミソウ (キンポウゲ科スハマソウ属)【大三角草】
Hepatica nobilis var. japonica f. magna) 別名:ユキワリソウ

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

山形県以西の日本海側に分布し新潟や佐渡に顕著な群生をする、一般に雪割草の名で知られるとても華麗な花です。

ユキワリソウの名は植物学的には全く別種のサクラソウ科の「ユキワリソウ」を指しますが、越後地方や北陸の人にとっては雪割草といえばこの「オオミスミソウ」のことで、豪雪地帯の長い冬を越えようやく春を迎える喜びを象徴する特別な意味をもつのでしょう。

ミスミソウ」の一品種とされていて、全体的に大きめのものが多いようですが、驚くべきはその花の色や形の多様性です。

太平洋側に隔離分布する「ミスミソウ」や「スハマソウ」では元来ほぼ白色系統のものが多いようですが、日本海側のオオミスミソウでは、どう見ても園芸植物としか思えないような鮮やかな多様な花が自生しています。

日本に自生する花の中でも、これほどバリエーション変化の広いものは他に無いでしょう。

キンポウゲ科の常でこの多彩な花びらは萼片なのですが、色彩だけでなく枚数や形状も実に様々です。

これらの花が全て一種の一品種に属すること自体が何とも不思議な気がします。

例えばスミレなどでは、花や葉の一部の色違いや部分的な有毛無毛の違いなどでいちいち違う名がつけられていたりするのですが、その見方でいけば、オオミスミソウ一種の中でも10や20に分けられても不思議はないという感じです。

そんな綺麗な花なので江戸時代から栽培され人気を呼び、今でも山野草園芸の一ジャンルをつくっているようです。

綺麗であり流通も多いので、公園や野草園などにも植栽され、「ミスミソウ」とされている中にも実際はこの「オオミスミソウ」の植栽である可能性が多いのではないかと思われます。

この仲間全体を世界的にみると、朝鮮、中国、ロシアをはじめ、ヨーロッパや北米にも分布し、氷河期に南進していたものが周北極に撤退してゆき、現在は北陸の豪雪地に分布し、その生き残りが太平洋側各地に隔離分布しているのではないかという感じがします。

もっとも、それにしては北海道に無く、高山植物としても残っていないのが不思議ですが。

いろいろな意味で、有名ながら謎多き花という感じです。


自生環境は、やや湿った感じの腐植質や礫地の落葉広葉樹林の林下や林縁で、独特の三角形の葉が地面にへばりつくように生え、花茎が真っ直ぐ立ち上がります。

萼片はおおむね6-12枚で、雄蕊の葯の色もいろいろです。

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園

オオミスミソウ

2022/03/30 長岡市雪国植物園


【雪割草77変化】
越後の春を告げる雪割草の多彩な姿(77カット)を癒しのサウンドとともにYoutube動画につくってあります。

【Youtube 山川草木図譜チャンネル】

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