ミスミソウ (キンポウゲ科ミスミソウ属)【三角草】
(Hepatica nobilis var. japonica) 俗称:ユキワリソウ
早春に葉が開くよりも早く開花し、積雪地では雪解けと同時ごろに花が咲くので雪割草と呼ばれます。
しかし、一般に「雪割草」の名で称されることも多い花ですが、サクラソウ科の「ユキワリソウ」とは全く別で、キンポウゲ科の「雪割草」は正式和名は「ミスミソウ」「スハマソウ」「オオミスミソウ」などのことです。
江戸時代から園芸品として親しまれてきたので、改良品種も数多くあります。
自生のものは、太平洋側のものはほとんどが白花系と言われますが、日本海側のものではたいへん多くの花色の変異があります。
この花色の違いは、ポリネーターの昆虫が花色によって行動し受粉率が偏るためという説があるようです。
すなわち、開花期の太平洋側では乾燥した晴天が続くので、枯れ草色の中によく目立つ白色に虫が来やすく、また日本海側では豪雪の雪解けすぐの中で目立つ派手な色彩に虫が集まりやすいということで淘汰されてきた結果だというのです。
確かにキクザキイチゲなどでも関東などでは白が多く、日本海側に青紫のものが多いようです。
葉が独特の三角形なので「三角草」の名となっており、同属の丸い葉のものは「スハマソウ」として別品種とされていますが、変異は連続的で分けない意見もあるようです。
環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)
公園や野草園で「ミスミソウ」として植栽されているものの多くは日本海側の「オオミスミソウ」由来のものではないかと思われます。
由来が明らかでないので、そのままミスミソウとして掲載していますが、関東の自生地とされるところの野生種はかなり小型で地味な白色系が多いようです。