タデスミレ (スミレ科スミレ属)【蓼菫】
(Viola thibaudieri)
現在、日本で自生地がただ一か所のみというたいへん希少なスミレです。
その姿もきわめて独特なもので、山地の落葉樹林下にすっくと立ち上がり、スミレとは思えない「タデ」のような細長い葉をもつ種類です。
分類的には「エゾノタチツボスミレ」に近い有茎種で櫛の歯状の托葉をもち、気品あるスリムな白花を咲かせます。
花の距はやや太短く後端に継ぎ目のようなくぼみがあります(エゾノタチツボと同様)。
萼片は細長く、側弁基部は有毛で柱頭はこん棒状です。
草姿は高さ30-40cmほどに直立し、上部の葉腋からいくつかの花茎を出します。
花には独特の香りがあり、「ニオイタチツボスミレ」のようには甘くなく独特の爽やかな香りです。
従来、日本での自生地は長野県に2箇所あったのですが、うち一か所(上田市)ではすでに絶滅したと考えられています。
環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類(EN)
長野県:絶滅危惧ⅠA類(CR)
特定第一種国内希少野生動植物種指定