ニオイタチツボスミレ (スミレ科スミレ属)【匂立坪菫】
(Viola obtusa)
「タチツボスミレ」の仲間の中でもゴージャスな雰囲気のスミレです。
花は丸く大型で、花弁が隙間なく重なり、花色も濃紫色でかなり濃いことが多く、花の中心部の白い部分が目立ちます。
葉は通常のタチツボよりも丸く、先が尖らないことが多いです。
花柄や葉柄に微毛があることが多いですが、無い場合もあります。
天気の良い日の開花直後には、芳香が漂いすこし離れていても判ることがあります。
タチツボスミレは、個体数が圧倒的に多く、その分個体変異も多いので、「あれ?」と思うようなちょっと変わった雰囲気の個体に時々出くわします。
そういうとき、もしかして「ニオイタチツボ」??と思うこともあります。
しかし、この個体に出くわしたときは、ひと目で明らかに違いました。
花が園芸種のような雰囲気なので、もっと大きいかと思っていましたが、普通のタチツボよりやや小さいくらいです。
資料によると明るい日当たりのよい開けたところに咲くとのことでしたが、これはやや薄暗い林下の細い道のわきにひっそりと咲いていました。
しかも、周辺を探しても結局このひと株だけしか見当たりませんでした。
また、名前のように芳香があることも特徴とされていますが、嗅いでみたところ、全く匂いは感じませんでした。
その後狭山丘陵で見つけたものは、いかにもニオイタチツボという花で、日当たりの良い開けたところに咲いていました。
後日、天気の良い日に匂いを嗅いでみたところ、ほのかな甘い芳香がしました。
天気の良い日でないと香らないのかもしれません。
狭山丘陵の隣に位置する加治丘陵。
立派な株の群生に出会いました。
天気の良い風のない日だったせいもあってか、とても良い香りが香っていました。