ケツユクサ (ツユクサ科ツユクサ属)【毛露草】
(Commelina communis f. ciliata)
普通の「ツユクサ」とほぼ同所的に生育する中に、包葉に毛があるものがあり「ケツユクサ」として別品種となっています。
また、比較するとケツユクサの方が、雄しべや雌しべの長さが明らかに短いのが分かります。
単に毛があるか無いかや蕊の長短だけなら個体差かと思いきや、この両者は互いの花粉が交換されても受粉が成立しにくく、正常な種子ができにくいそうです。
つまり近くに生育していると、ポリネータを共有する両者にとってお互いに繁殖干渉が起き、種子の生産数が減ってしまい共倒れする可能性があるということです。
しかし実際にはそうならずに両者が両立して混成することも多く、これはツユクサがもともと自家受粉のシステムをもっているお陰だということのようです。
これらの染色体数はツユクサが(2n=88)、ケツユクサは(2n=44,46)だそうです。
想像を巡らすと、もともと「ケツユクサ」一種だったものがいつか倍数体の品種「ツユクサ」が現れ、繁殖干渉による共倒れの危機に陥った際にそれを回避するための自家受粉システムを獲得した、という進化の歴史があるのかもしれません。(あくまで妄想です(笑))

