ヒメムヨウラン (ラン科サカネラン属)【姫無葉蘭】
(Neottia acuminata)
本州中部以北と北海道に分布し、亜高山帯下部などの針葉樹林下に生える菌従属栄養性の小さなランです。
「ムヨウラン」と同様、葉緑素をもたず光合成をしない菌従属栄養性ですが、名前に反して「ムヨウラン」の仲間ではなく「サカネラン」の仲間です。
高さ10-20cmばかりの一本の直立した茎に、20-30個ほどの淡褐色の花を咲かせます。
花は花弁、萼片ともの同じように開出して反り返るので、一見ランの花らしからぬ6弁花のようにも見えます。
よく見ると各花被片にはやや濃い褐色のラインが入っていて、上方の一弁だけ形が異なり、これが唇弁です。
すなわち、普通の多くのランでは花柄子房が180度ねじれて唇弁が下にあるところ、このランはねじれが無く、結果唇弁位置が倒立したかたちになっています。
光合成をしないというものの、ごく小さな痕跡的な葉が数枚ついています。
関東近辺では、八ヶ岳、南アルプス、御坂山地、富士山に分布し、このあたりが南限となるようです。
環境省カテゴリ:絶滅危惧Ⅱ類 (VU)
山梨県:絶滅危惧Ⅱ類 (VU)