ヤハズハハコ (キク科ヤマハハコ属)【矢筈母子】
(Anaphalis sinica) 別名:ヤバネホウコ
「ヤマハハコ」の同属でよく似ていますが、背が低く互生の葉は幅広いヘラ型で、艶消しの白っぽい色をしています。
茎は単一で基本的に分枝せず、白色の綿毛で覆われています。
葉の付け根は茎に沿うようにして付き、茎に狭いヒレがあります。
花は枝先に散房状に多数つき、白い総苞に包まれるように筒状花が咲きます。
雌雄異株で、雌株の頭花は多数の雌花と少数の雄花からなり、総苞片が褐色を帯びます。
雄株の頭花は雄花しかなく、総苞は鐘形。
関東地方以西、四国、九州に分布し、山地の乾燥した礫地や斜面に生育します。
北アルプスなどの高山帯には同属の「タカネヤハズハハコ」が分布しています。
葉が茎に沿って狭く翼状に流れる(葉の付け根の下の茎にヒレがある)という点が本種の特徴で、「矢筈」の語源となっているようです。
しかし、牧野富太郎博士はこの形状により「矢羽根」というのが本来の語源であるとし、「ヤバネハハコ」が正しいという意見だったそうです。
確かに、「矢筈」は矢の尻に弓の弦を掛ける部分のパーツのことなので、この植物の何を指しているのか意味不明となってしまいます。
「矢羽根」であれば、矢の軸から生えるヒレ状の羽根なので、この植物の特徴に当てはまりますね。