カキラン (ラン科カキラン属)【柿蘭】
(Epipactis thunbergii) 別名:スズラン
里山の日当たりの良い湿地や草地に咲く陽性の野生蘭です。
名前の由来である柿色の花を、別名の通り鈴なりに咲かせ、一部のランの陰気な印象と反対に明るく陽気なイメージです。
綺麗に3方に開いた萼片と山吹色の側花弁はすっきりシンプルで、下唇弁はやや複雑な2段構造となり紅紫色の斑紋が入り、いかにも蘭の華やかさを演出しています。
全国に広く分布し、何の変哲もない里山の田圃の土手などに咲く、元来普通種の植物と思われます。
しかし、生育に適した草地や湿地の減少、笹薮などへの遷移、園芸採取の圧力などで激減しているようです。
同じように身近な里山の蘭である「キンラン」「ギンラン」などは、林下の日陰に生育するので、林の樹種が合えば都市公園のような環境でも生きられるのに対し、カキランは人工的環境に進出することはできないようです。
関東各県をはじめ、全国の多くで絶滅危惧指定(埼玉県では絶滅 EX)。