ウマノスズクサ (ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属)【馬の鈴草】
(Aristolochia debilis)
一見、芋づるのような、他の草やフェンスなどに絡みついているつる草です。
およそ、普通に里山に咲く花で、これほど奇妙奇怪なものは他にないのではないでしょうか。
同じ科の「カンアオイ」や「ウスバサイシン」も奇っ怪な花ですが、まだいわゆる一般的な花の形をしています。
まるで食虫植物のウツボカズラのような、サキソフォン型と称される花は、萼筒の変形で、花弁は無く、雄蕊雌蕊はこの最奥の丸い部分にコンパクトに収まっています。
花の匂い(悪臭)で誘われた小型のハエ類が入口に来ると黒っぽい入口から見える奥は明るくなっており、明るさにつられて奥に進むと逆毛で後戻りできず、最奥の部屋までもぐりこみ閉じ込められます。
そのままだと食虫植物そのものですが、雄しべが熟し花粉が虫に充分ついたころに逆毛が委縮して無くなり、虫は外に脱出できます。
そしてまた、別の花に誘われてもぐりこむと受粉する仕組みだそうです。
有毒なアルカロイド成分を含み、昔は薬草にも使われたそうです。
「ジャコウアゲハ」の食草となっており、ジャコウアゲハはこのアルカロイド成分を体内に溜め、自らを有毒化して鳥の捕食から身を守るのです。
蕾は花の形がそのままで小さいのが用意されている!
この蕾の正面が縦に割れ、外側に巻き上がって花の形が完成するようです。