ハンゲショウ (ドクダミ科ハンゲショウ属)【半夏生、半化粧】
(Saururus chinensis)
ハンゲショウは、本州以南の川辺や湿地に生え、夏のはじめに花をつけます。
花期には、花に近い位置の葉を白化させ独特の景観を生み出します。
ハンゲショウの花は、花弁をもたず、花穂に雌しべと雄しべが並んでいるだけの花です。
花粉を昆虫に運んでもらう「虫媒花」なのですが、花弁が無い地味な花なので存在をアピールしにくいようです。
そこで、花の咲く時期に、上の方の葉を白くして目立たせる作戦です。
同じ科の「ドクダミ」がまさにそうで、白い花弁に見えるのは葉で、本当の花は雌しべと雄しべだけです。
また同じように一時的に葉が白くなる植物では、「マタタビ」が有名ですね。
ただ、白くなるメカニズムはそれぞれ違うようで、マタタビは葉の先端から、ハンゲショウは葉の付け根から白くなります。
花がまだ咲きはじめの葉は、まだ緑のままとなっています。
また、花が全て終わると葉も緑色に戻ってゆきます。
ちなみに「ハンゲショウ(半夏生)」の名は、季節を示す暦の上で、夏至から数えて11日目、「半夏(ハンゲ)が生える季節」という意味です。
「ハンゲ」は「半夏厚朴湯」などの漢方薬の材料の名で、「カラスビシャク(烏柄杓)」の別名です。
ちなみにハンゲショウは「半化粧」とも書き、葉の一部分が白くなることから来ている説もあります。
見た目に面白い葉なので、庭園や公園などに植栽することもあります。
ハンゲショウの花が終わり、白い葉が緑に戻る頃には、そろそろ梅雨明けも近いという感じです。
夏前に葉の一部が白く変化するので「半化粧」とも、「半夏生」の季節に花が咲くからともいわれますが、漢方薬の「半夏」は別物です。
葉が白くなるのは、目立たない花を目立たせるためという説があり、そうだとすると、萼片や葉が事実上の花弁のようになっている花と似たことなのでしょうか。