サイハイラン (ラン科サイハイラン属)【采配蘭】
(Cremastra appendiculata)
地面にブラシを突き立てたような特異な様相を呈する、山林の蘭です。
大きな葉が一枚だけ生えますが、花の頃には枯れ落ちてしまうことが多いので、地面にいきなり棒が立っているような姿になります。
葉からの光合成でも栄養補給しますが、主には共生する菌根菌からの栄養で生きる、部分的菌従属栄養植物といわれます。
武将が合戦のときに振って支持する「采配」の形に見立てた名前ですが、その通りブラシがハタキのような外観は、遠目にはあまりぱっとせずとても地味な蘭だと思っていました。
ところが、実物を目の前にしてうんと寄って個々の花を観察すると、実はとても綺麗な、いかにも「蘭」でした。
バサバサとすぼまった感じの、遠目には枯れ葉のような花は、実はとても細長いながら典型的なランの花の構造で、至近で見ると色彩的にも綺麗です。
何よりも驚いたのは、花序を逆光に透かしてみたときの、萼片の美しさ!
メタルフレークというか、陽光に細かいラメが輝いていました。
東京都では、絶滅危惧1類となっています。