ヒメギフチョウ (アゲハチョウ科ギフチョウ属)【姫岐阜蝶】
(Luehdorfia puziloi inexpecta) ヒメギフチョウ本州亜種
「春の妖精」とも呼ばれ、早春の林に舞う可憐な蝶です。
同属の「ギフチョウ」が主に山陰から近畿・中部・北陸に分布するのに対し、中部・東北・北海道に生息します。
里山から低山の落葉樹林に生息し、「ウスバサイシン」類を食草としています。
「カラマツ」や「ミズナラ」の新緑が芽吹いて葉が茂りだすころ、林床にはまだほとんど下草が生えず、カタクリなどの「スプリングエフェメラル」やスミレ類が咲く頃に羽化して舞い始めます。
そして慌ただしく交尾し産卵し、「スプリングエフェメラル」も終わり桜も散って新緑が濃くなりだすころには姿を消してしまいます。
まさに蝶類の「スプリングエフェメラル」ともいえる存在です。
ひらひらとした独特の飛び方で、飛び姿でもすぐ分かりますが、吸蜜する対象の花が少ない場所ではなかなか止まってくれず、写真に撮るのはなかなか難儀です。
北海道産の「エゾヒメギフチョウ」と本州産の「ヒメギフチョウ」の2つの亜種に分かれていて、基本的に「ギフチョウ」とは生息域が分かれています。
里山の荒廃や開発や植林、鹿の食害によって食草が減ってきたこともあり、各地で生息域が脅かされ個体数が激減しています。
関東地方では唯一といわれる赤城山の僅かな生息地は、群馬県の天然記念物に指定され条例によって手厚く保護され「赤城姫」と呼ばれています。
環境省カテゴリ:準絶滅危惧(NT)
群馬県:絶滅危惧ⅠA類(CR+EN)
青森県:絶滅危惧種Ⅱ類
岩手県:準絶滅危惧
宮城県:準絶滅危惧(NT)
秋田県:絶滅危惧種Ⅱ類(VU)
山形県:絶滅危惧種Ⅱ類(VU)
福島県:絶滅危惧Ⅰ類(CR+EN)
新潟県:絶滅危惧Ⅰ類(EN)
山梨県:準絶滅危惧(NT)
長野県:準絶滅危惧(NT)
岐阜県:絶滅危惧Ⅰ類