トチナイソウ (サクラソウ科トチナイソウ属)【栃内草】
(Androsace chamaejasme subsp. capitata)
日本に1属2種しか存在しないうちの1種でたいへん希少な高山植物です。
確認されている生育地は日本で4箇所しかなく、うち2か所は北海道の入山自体がほぼ不能な秘境の山で、あとの2か所は礼文島と早池峰山。
礼文島では絶滅寸前のようで、早池峰でも盗掘が多く一般にはなかなか滅多に出会えないようです。
石灰岩地や蛇紋岩地という特殊な環境下に僅かに生き残っている植物で、そのような花が目の前で見ることができるのは有難いことです。
丸っこいシンプルな5弁の白花で、毛深い花茎に3輪づつくらいの花序をつけます。
多数が束生する厚く短い葉は粗い長毛がたくさん生え低くかたまります。
いかにも寒冷な高山の岩礫地で水分を得るための体制のようです。
ちなみに「トチナイソウ」の名は、発見者の栃内氏の名前に由来するそうです。
環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類(EN)
北海道:準絶滅危惧種(NT)
岩手県:絶滅危惧Ⅰ類(Aランク)