ムヨウラン (ラン科ムヨウラン属)【無葉蘭】
(Lecanorchis japonica)
「無葉」の名の通り、葉を持たず自ら光合成を行なわない小型の蘭で、本州以南の丘陵や低山の林下に生えます。
昔は「腐生植物」と呼ばれ腐植質などから養分を得ていると考えられていましたが、今では土中の菌類と共生して養分を得ていることが判っているので「菌従属栄養植物」と呼ばれます。
地下茎から数本の地上茎を伸ばし、いくつかに分岐した先に数個の薄茶色の花を咲かせます。
6弁の花弁にも見える花は、3つの萼片と2つの側花弁、それに唇弁で成り立っています。
下唇弁にはぎっしりと毛が生えています。
花が咲いていなければ、単に細い枯れ枝が突っ立っているだけとしか見えません。
花の色には変異が多いようで、黄色っぽいものから紫色を帯びたものまで様々です。
同類には他にも種類が多く、「トサノクロムヨウラン」や「エンシュウムヨウラン」などいくつかの別種があります。