ケショウヤナギ (ヤナギ科ヤナギ属)【化粧柳】
(Salix arbutifolia)
上高地の梓川の景観を形作る要素のひとつとして、たいへん有名なヤナギです。
しかし、上高地には他にも「オノエヤナギ」や「イヌコリヤナギ」「オオバヤナギ」「ドロノキ」など、10種類以上のヤナギが生育していて、けっこう見分けるのは難しいです。
ケショウヤナギは、新枝の木肌がロウ質の粉白色を帯びることから牧野富太郎博士が名付けたものですが、意外と白い枝が分かりにくい感じです。
むしろ、丸石が転がる梓川の広い河原の縁に、独特の樹形で単独で生える姿が特徴的です。
雌雄異株で、春の早い時期に垂れ下がる花を咲かせ、果実期には果穂は逆に上向きになっています。
夏のはじめに綿毛の付いた種子を風に飛ばし、これがいわゆる「柳絮(りゅうじょ)」です。
不安定な河原に次々と生えるので更新の早い樹木ですが、河童橋のたもとには有名な大木があり、条件がよければ30m以上の高木となるようです。
氷河期の遺存植物とされ、日本における分布は極めて限られ、北海道の日高・十勝地方と、上高地周辺の梓川上流部のみとなっています。
長野県:準絶滅危惧 (NT)
北海道:準絶滅危惧種 (NT)