スルガジョウロウホトトギス (ユリ科ホトトギス属)【駿河上臈杜鵑草】
(Tricyrtis ishiiana var. surugensis)
ホトトギス属の中の一群の、ジョウロウホトギス節のものは、深山渓谷の岩場に垂れ下がるように生え、ホタルブクロのような釣鐘型の黄色い花を下向きにつけます。
「(トサ)ジョウロウホトトギス」と、「キイジョウロウホトトギス」「サガミジョウロウホトトギス」「スルガジョウロウホトトギス」があり、その名のように(土佐、紀伊、相模、駿河)、それぞれ地域固有変種となっています。
その中で、スルガジョウロウホトトギスは静岡県・山梨県のごく狭い山中に自生する固有希少種で環境省絶滅危惧Ⅰ類となっています。
分類学上、「サガミジョウロウホトトギス」の変種とされていて、サガミジョウロウホトトギスに比べて小型で葉が細く花も小さめのものです。
険阻な沢の中の苔むした急峻な岩壁に垂れ下がるように生え、茎の先端に薄黄色の釣鐘型の花を1-3個つけます。
花被片の内側に紅紫色の斑点がありますが、他種に比べてやや疎らで、花被片の先端よりすこし内側からついています。
また、斑点が花被片の外側に透けて見えるのは、花被片の厚さと色が薄いせいでしょうか。
花被片の先端には刺状の突起があり、雄しべの葯は赤褐色です。
環境省カテゴリ:絶滅危惧ⅠB類(EN)
山梨県:絶滅危惧種ⅠA類(CR)
静岡県:絶滅危惧ⅠA類(CR)