オンガタヒゴタイ (キク科トウヒレン属)【恩方平江帯】
(Saussurea x satowii)
「タカオヒゴタイ」と「セイタカトウヒレン」の自然交雑種とされるもので、両者の特徴を兼ね備え、高尾山系を中心に稀に見られるものです。
タカオヒゴタイのように湾入をもつ「バイオリン型」の葉を備え、セイタカトウヒレンのように茎に翼を備えるものとされています。
雑種なので、当然両者が混在して分布する地域ということで、高尾山系から山梨県にかけたあたりの特産となります。
ちなみに「恩方」とは、高尾山の北方山麓にあたる八王子市内の地名です。
「タカオヒゴタイ」がいくつか群生して咲いている中に、花の色味が微妙に違うものが咲いていました。
花の色がやや濃く、総苞内片が黒紫色で花冠に沿って長く伸びる点などは、セイタカトウヒレンに似た感じを受けます。
そして、茎の下方を丹念に観察すると何か所か、小さな痕跡程度ながら翼らしきものがあります。
また、花の総苞片が緑色で開出しているものの、あまり平開せずタカオヒゴタイの典型例と違う感じがします。
葉の形についてはバイオリン型に見える部分も多いのですが、虫食いが多くちょっと何ともいえません。
雑種の場合確定的な典型形質というものは無く、両親の形質の中間でいろいろな程度で偏っているのが普通だと思います。
そこで、これは「タカオヒゴタイ」寄りの「オンガタヒゴタイ」ではないかと思うのです。
この時、近くに「セイタカトウヒレン」の存在は確認できていないのですが、後日知人から同所で「セイタカトウヒレン」を確認している情報を得られました。
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