アオイスミレ (スミレ科スミレ属)【葵菫】
(Viola hondoensis)
春、雑木林の花が咲き始める先頭にたって、真っ先に咲きだすスミレです。
雑木林の湿った土の、それでも日当たりはよさそうな開けた地面にへばりつくように生えています。
葉は「マルバスミレ」のように丸っこく、「タチツボスミレ」のような鋸歯の托葉をもち、全体に毛っぽいです。
花は上唇弁がうさぎの耳のように立ち上がり、側唇弁が前に突き出した独特の形で、わりあい判りやすい特徴があります。
あまり花茎を高く伸ばさず、地面に近い低い位置で咲くようです。
実はアオイスミレは他の多くのスミレと違う点があり、他のスミレのように実った種子を遠くに弾き飛ばす仕組みが無く、その場に零れ落ちるだけです。
その代わり、種子に付属する「エライオソーム」がたいへん多く、アリが喜んで運んでくれるようにしているのです。
そのため、自力で少しでも遠くに飛ばすために種子の位置を高く上げるということを止めているようなのです。
もう少し標高の高いところや北方には、よく似た近縁種の「エゾノアオイスミレ」があります。
3月上旬、清瀬の雑木林で見つけた個体は、湿った土の地面にへばりついているので、雨で跳ねた泥をかぶってしまっていました。
同じ清瀬市で、こちらは見事な群生株
こちらは、狭山丘陵にて 狭山丘陵では白っぽい花が多い感じです
3月初旬、早春の高尾山日影沢周辺にて、まだほとんど枯野ばかりの中に早くも咲き始めていました。