ライチョウ (キジ科)【雷鳥】
(Lagopus muta japonica)
ライチョウは、シベリアやアラスカ、カナダ、北欧などの周北極地帯の寒冷地に住む鳥で、日本は分布の最南となるようです。
日本に生息するのは固有の亜種で、典型的な氷河期遺存の隔離分布です。
現在、北アルプス、南アルプス、乗鞍岳、御嶽山、妙高火打山・焼山の標高2500m以上で繁殖していますが、昔は中央アルプス、白山、八ヶ岳にも生息していました。
「飛ばない鳥」と思われていますが、実際には数百メートルの飛翔力はあるようで、飛び飛びになら20-30kmの移動能力はあるようです。
その証拠に、すでに絶滅した白山で70年ぶりに一時発見され、遺伝子解析の結果北アルプスの個体群と確認されています。
また、数十年の間にときたま八ヶ岳や戸隠などで目撃情報や写真撮影があるので、ごくたまに長い距離を渡ってくる個体があるようです。
日本の雷鳥は実質上ハイマツ帯の分布に依存しているようで、ハイマツ帯に対するなわばりの広さで生息可能個体数が決まってくるらしいのです。
日本での生息地南限とされる、南アルプス・イザルガ岳は、ハイマツのまとまった分布の南限でもあります。
ハイマツは季節によって換毛し色を変える動物の代表のようなもので、真冬は純白になりますが、夏羽では雌雄の色柄が違います。
移行期には腹だけ白い、混ざった状態になります。
雷鳥の英語名は、Ptarmigan(ターミガン)またはGrouse(グラウス)といいます。
自分も誤解していましたが、「サンダーバード」ではありません。
「サンダーバード」はアメリカ先住民の神話に出てくる、雷を操る巨大な鳥のことだそうです。