オオムラサキ (タテハチョウ科)【大紫】
(Sasakia charonda)
日本の「国蝶」として知られるオオムラサキは、日本最大のタテハチョウです。
大きさと同時に重量感のある蝶なので、「ひらひら」というより「バサバサ」という感じで力強く飛びます。
「国蝶」といっても、国旗国歌のように公的に決まっているというわけではなく、国蝶を決めようという議論の中で日本昆虫学会の案が固定化されたようです。
日本全国の里山から低山地にかけて幅広く分布しますが、里山の環境変化に伴い、都市近郊では見られにくくなっています。
幼虫の食草はエノキのみで、成虫はクヌギやコナラなどの樹液を餌とします。
なので、生息地で見たい場合は、クワガタやカブトムシ、スズメバチなどが群がっているような樹液の場所で待っているとやって来る可能性があります。
清瀬市では、市の雑木林保存再生事業の一環として、オオムラサキの飼育事業をやっています。
専用ケージの中で飼育を行っており、定期的に一般公開しています。
繁殖シーズン後半の7月上旬に見学にいってきました。
ちょうどタイミングよく、卵から幼虫、蛹、羽化したばかりの個体、産卵する親まですべてのステージをいっぺんに見られました。
エノキの植木をたくさん植え、成虫には樹液の代わりにバナナやカルピスを与えるようです。
ここの飼育事業は、飼育技術や体験学習のためにやっているようで、もとの蝶の産地が他所からのものなので遺伝子攪乱の懸念から放蝶はしないそうです。
しかし、近年、近くの狭山丘陵からの個体系統を別ケージで飼育研究を始めたようで、これが上手くいけば地域での増殖放蝶もできるようになるかもしれません。