スミレ (スミレ科スミレ属)【菫】
( Viola mandshurica )
「スミレ」という名のスミレはこれ一種のことですが、スミレ類全般のことと紛らわしいので、スミレマニアはすみれ類一般と区別するために学名の「マンジュリカ」と呼ぶことも多いです。
「マンジュリカ」とは「満州の」という意味なので、このスミレは日本固有ではなく中国東北部や朝鮮に共通で分布します。
日本国内でも分布は広く、北海道から屋久島までとなっています。
山の中や林内には生えず、日当たりのよい畦や土手、林道や道路沿いなどに生え、人里周辺で見ることの多い種類です。
スミレ類の代表ではありますが、分布環境の広さや目につく頻度では「タチツボスミレ」に大きく負けているといえるでしょう。
山野草類を観察しだして2-3年、スミレづいてきましたが、何と未だに普通の「スミレ」を見たことがありませんでした。
山の方に出かけていくと、そもそも生息地でなく、田んぼの畦道みたいなところや小川の土手みたいなところでも見ず…。
ということで、「普通の」スミレは「タチツボスミレ」のことで、「スミレ(マンジュリカ)」は幻のスミレとなっていました。
ところが自宅から駅に向かう、すぐ近所の街中で発見。
しばらく前から、通りがかりに「怪しい葉」だとは思っていたのですが、花の気配が無く、数日ぶりに通ったら一気に咲いてました。
住宅地の中にある、会社の大きな駐車場のフェンスのわきに3株。
灯台下暗しというか、20種以上のスミレを追っかけた挙句に足元についにボス襲来という感じです。
流石に元祖スミレは、山野の他種とまったく違う迫力とボリューム感があります。
「スミレ」は「山野草」というよりもむしろ人里の「雑草」だったのですね。
都心・千代田区の歩道上に。
もっとも、皇居のお堀沿いなので環境は良いかも。やけに赤みの強い花。
狭山丘陵はけっこうスミレ類の宝庫ですが、この「スミレ」はやはり山の中には無く、車道や遊歩道に沿った日当たりの良い場所に群生します。
5月連休のころには、スミレもいよいよシーズン終わりです。