ウスバシロチョウ (アゲハチョウ科)【薄羽白蝶】
(Parnassius citrinarius) 別名:ウスバアゲハ
「シロチョウ」の名がつきますが、「モンシロチョウ」「スジグロシロチョウ」などの仲間ではなく、アゲハチョウ科です。
ただし、アゲハ科の中でもやや特殊な北方系のグループで、属名「パルナシウス」といえばヨーロッパでは希少な高山蝶「アポロ蝶」の仲間です。
日本でも仲間の「ウスバキチョウ」は大雪山だけに棲み「コマクサ」だけを食草とする希少種となっています。
ウスバシロチョウは、これらの中では最もポピュラーな普通種ですが、それほどどこにでも居る訳でもなく、狭山丘陵で見られるようになったのは最近のことのようです。
元来、氷河期遺存種のグループなので、あまり気温の高くならない山地性のはずなのですが、近年分布域を平地に広げているようで、これは地球温暖化と逆行する動きでちょっと謎です。
食草は、ムラサキケマンやヤマエンゴサクなど普遍的なものなので、何らかの原因で低地分布のたがが外れたのなら今後増えて行くのかもしれません。
「シロチョウ」の名が紛らわしいので、最近は「ウスバアゲハ」というのがスタンダードになってきているようです。
モンシロチョウ、スジグロシロチョウ、モンキチョウなどと同じところを飛んでいるので紛らわしいですが、見慣れてくると飛び方が長距離をゆったり飛び、見た目が大型なので見分けられます。
むしろ「ナミアゲハ」の飛び方に似ていて紛らわしい感じです。