ハチオウジアザミ (キク科アザミ属)【八王子薊】
(Cirsium tamastoloniferum)
2012年に新種として発表されたばかりの、八王子市内原産の地域固有種のアザミです。
多摩丘陵には、低い丘陵地に入り組んだ谷(谷戸)がたくさんあり、そのうちのひとつの谷戸の奥の湿地で発見されたものです。
その唯一の自生地は私有地であり、研究・展示のために長池公園に植栽保護されています。
その後、多摩丘陵周辺の他の何箇所かでも発見されているようです。
湿地に生育し走出枝(ストロン)によって増えるという変わったタイプのアザミです。
やや小型の下向きの頭花を多数咲かせ、細長い総苞にやや短めの総苞片が9-10列で開出します。
葉はタイアザミなどよりも切れ込みが浅く、棘は意外と鋭いです。
類縁的には、ナンブアザミ節カガノアザミ群ということで、「ホソエノアザミ」などに近い種類です。
発見・発表者の国立科学博物館の門田博士のアザミについての講演を以前聴かせて頂く機会がありました。
それによると日本に150種を越える種類があるアザミ類は現在も盛んに分化しつつある植物で、極めて狭い範囲の中でも分化が進んでいるものが多いらしく、このような局地的な種類がこれからも全国で数多く発見される可能性が高いとのことです。
【Youtube 山川草木図譜チャンネル】