クモマスミレ (スミレ科スミレ属)【雲間菫】
(Viola crassa subsp. alpicola)
高山性のスミレである「タカネスミレ」の亜種とされる、日本でも最も過酷な高山環境に生育するスミレのひとつです。
中央アルプスと北アルプスだけに分布し、森林限界を遥かに超えた岩稜帯の岩場の間や礫地に生えています。
高山の砂礫地で強烈な紫外線を浴びるせいか、葉の質が厚めで硬く緑色も濃色で、葉脈の凹凸もくっきりしています。
側弁も全体的にも無毛。
「キバナノコマノツメ」によく似ていて、生育場所も重なっていますが、全体の印象がキバナノコマノツメよりもワイルドで「ごっつい」感じとなります。
下唇弁が長めな点は似ていますが、キバナノコマノツメに比べると、紫条の線が濃くくっきりしています。
また、同じ岩稜地帯であっても、キバナノコマノツメが岩棚の腐植土が溜まった草付きのようなところに生えているのに対し、クモマスミレは岩の間や岩礫の上などに生えます。
垂直に近い岩壁の見上げる遥か上の小さな岩棚やクラックの中に咲いている様子は、一般的な春の里山のスミレのイメージと程遠いものがありますね。