ヤワタソウ (ユキノシタ科ヤワタソウ属)【八幡草】
(Peltoboykinia tellimoides) 別名:オトメソウ、タキナショウマ
日本では本州中部~東北南部という狭い範囲に分布し、中国の一部にもあるようです。
大きな根生葉の脇に花柄を伸ばし、小型の茎葉を1-2個つけます。
ユキノシタ科ですが独特の体制は、「サンカヨウ」とか「ポドフィルム」をちょっと連想するスタイルです。
うす黄色の花は厚手の和紙をちぎって作ったようなつや消しで、ヘリがやや不規則に裂けているような形で、一面に腺毛が生えています。
花の内部には、黒い葯の雄しべが10個見えます。
湿度の高い谷沿い斜面の薄暗い樹林の林下に生え、群生しますが、鹿の食害にかなり遭いやすいようで奥多摩の群生地もかなり打撃をうけています。
「ヤワタソウ属」に属する植物は、この「ヤワタソウ」と関西に分布する「ワタナベソウ」の2種しかなく、世界で極東の一部にしか存在しません。
東京都で絶滅危惧IAなど、分布地の多くの都県で絶滅危惧種となっています。
茨城県:絶滅危惧ⅠA類
群馬県:絶滅危惧ⅠB類(EN)
埼玉県:絶滅危惧ⅠA類(CR)
東京都:絶滅危惧ⅠA類(CR)
山梨県:絶滅危惧種ⅠB類(EN)
長野県:準絶滅危惧(NT)
岐阜県:準絶滅危惧
ちなみに、「ヤワタ」の語源は不明だそうです。
中国から朝鮮に分布する「イワヤツデ(タンチョウソウ)」に近い感じです。