ヘビノネゴザ (シダ植物イワデンダ科)【蛇の寝茣蓙】
(Athyrium yokoscense)
全国の低山や山地の林内に普通に生える夏緑性シダで、姿かたちも普通のいかにも羊歯という感じで特に特別な個性はありません。
しかし、このシダは植物に有害な重金属を吸着・中和・蓄積しながら生育できる奇妙な性質が知られています。
実際に古い廃坑の廃砕に生い茂っていたりすることが多く、古くから山師や坑夫たちの間で、銅や鉛、亜鉛や銀山など、鉱床探しの指標植物として注目されてきたそうです。
とはいっても、高濃度の重金属が生育に必要なわけではなく、他の植物が生育しづらい環境を独占できるメリットによるようです。
ちょうど、蛇紋岩地帯や石灰岩地帯に適応した植物のようなものです。
重金属を無害化できる機序には、豊富に含まれる「プロアントシアニジン」というポリフェノールが関わっているそうです。
土壌中のカドミウムや鉛などの重金属を吸着させて、汚染の浄化に使えないかという研究も行なわれているようです。
また、奇妙な名前は、同じ根茎から株立ちして葉が叢生することが多いため、蛇がとぐろを巻いて潜んでいそうだという意味のようですが、そんな羊歯は他にもいくらでもありそうです。