ヒメヒダボタン (ユキノシタ科ネコノメソウ属)【姫飛騨牡丹】
(Chrysosplenium nagasei var. luteoflorum)
日本海側ネコノメソウの代表「ホクリクネコノメ」の系統ながら、太平洋側の「イワボタン」や「ニッコウネコノメ」にも似た形質をもつ、最近分類し直された「ヒダボタン」の変種とされるネコノメソウです。
岐阜県や福井県、滋賀県、長野県西部という微妙な分布域で、山地の湿った沢沿いの林下に生育します。
ホクリクネコノメや母種のヒダボタンなどよりやや小型で、根生葉が花期にも残り、花期の苞葉は鮮やかな黄色になります。
萼片が黄緑色で直立し雄しべは8本で萼片と同長かやや短く、葯は黄色ということです。
上高地の明神付近の広葉樹林の湿った林下で見つけたものは、既に花期は終り種を飛ばしたところでした。
種を収納する心皮は淡緑色で片側に張り出し先端に刺があります。
苞葉の黄色は果実期には薄くなり、黄緑色になるようです。
走出枝の先につくロゼット葉が丸形で、脈沿いに白っぽい斑が入っています。
これは、ボタンネコノメソウの仲間(kiotense)に特徴的な形質のようです。