ハス (ハス科ハス属)【蓮】
(Nelumbo nucifera) 別名:ハチス
ハスはインド周辺が原産とされ、中国経由で日本に渡来した史前帰化植物とされています。
仏教のイメージが強く、仏教とともに伝来した感じもしますが仏教伝来よりもかなり古くからあるようで、古事記や日本書紀にも記載があるようです。
実際、「大賀ハス」は2000年埋もれていた種が発芽した発芽したものであり、少なくとも2000年以上前には既に存在したわけです。
ところが、さらに古く化石においては数千万年前のものが国内で発見されており、また現生種と同じものが1-2万年前の地層から各地で見つかっています。
つまり、昔は日本にも自生分布していたものが氷河期によって絶滅または衰退して、その後人の手によって再輸入されたということが考えられます。
ハスは「スイレン」と混同されることも多いですが、両者は分類学的には全く遠い植物で、分類階層の「目」の段階から違うもので、APG分類では「スイレン」よりは何と「プラタナス」に近い仲間のようです。
スイレンは水面に葉を浮かべる浮葉性植物ですが、ハスは水面から葉を立ち上げる挺水植物です。
スイレンの葉は丸いですが葉柄まで切れ込みがあり、ハスの葉は完全に丸い葉の中心に葉柄があります。
また、ハスの花は中心の部に大きな「花托」があり、その表面にばらばらと雌蕊がある特殊な形をしています。
とても大きく美しい花ですが朝開き夕方つぼみを繰り返し、4日目には散ります。
古来から花としても作物としての「蓮根」としても愛されてきただけに数多くの品種がありますが、生物種としてのハス科はハス属1属のみで、「ハス」と「キバナハス」の2種しかありません。
【Youtube 山川草木図譜チャンネル】