シテンクモキリ (ラン科クモキリソウ属)【紫点蜘蛛切】
(Liparis purpureovittata)
「クモキリソウ」や「フガクスズムシソウ」などによく似ていますが、2008年に遺伝子解析により新種と証明されたクモキリソウ属の地生蘭です。
従来、フガククモキリ、アズミクモキリ、チクマジガバチなどと呼ばれていたものが正規な統一名称になったものです。
縁が細かく波打つ葉はクモキリソウそっくりで、花もクモキリソウによく似た黄緑色の唇弁ですが、中央の溝の背面が黒っぽくなっていて、これをもって「紫点」と称しています。
また、側萼片や側花被片などは細く巻いて紫褐色を帯びます。
ただ、個体によっては「紫点」がほとんど無く萼片等も黄緑色の「素心」といえるような株もあります。
その場合も「クモキリソウ」とは唇弁の形など明らかに違うので花の見分けはつきます。
本州中部以北から北海道に分布(四国などにも隔離分布しているようです)。
山地から亜高山の湿度の高い明るい林縁に生育します。
分子情報と分類学の統合研究により明らかになったこと- クモキリソウ属の例
国立科学博物館 植物研究部 堤千絵博士
【引用】分子情報で裏付けられた新種シテンクモキリ
シテンクモキリは、一見しただけではクモキリソウとよく似ており、クモキリソウと別種か否かあいまいでした。
しかしDNA 情報を比較した結果、両種はスズムシソウとクモキリソウくらい異なることが明らかになりました。
(写真:シテンクモキリ (Liparis purpureoivittata) 北海道~本州の明るい林床や湿地に生育する。
クモキリソウと比べると 花の色や形、萼片(がくへん)の巻き方などのかたちも異なる。)