ムラサキ (ムラサキ科ムラサキ属)【紫】
(Lithospermum erythrorhizon)
色名の「紫」の語源となった由緒ある植物です。
古代よりこの根から紫色の染料を採った貴重な植物であったわけです。
しかし、紫色の原料となったから「ムラサキ」という植物名になったわけではなく、「ムラサキ」という植物から染められた色を「紫色」というようになったということです。
植物名としての語源は、群生して咲く「群咲」ということからきたようです。
ということで、昔は武蔵野の草原にも全国の野山にも見られたという植物ですが、現在では野生のものはかなり稀となっています。
どれもよく似たムラサキ科の花ですが、特に同属の「ホタルカズラ」によく似ています。
花色はほぼ完全に純白で、中心部だけがごく僅かに黄色みを帯びています。
株立ちが楚々とした感じで清楚な花です。
葉はやや厚手で毛深く、葉の付け根に托葉のような小さな葉が出ています。
環境省カテゴリ: 絶滅危惧ⅠB類(EN)
近縁種に「イヌムラサキ」というのがあり、これは在来種でもありますが、ユーラシア全般に広く分布し海外経由の帰化種があちこちに有るそうです。
こちらは葉が細めで脈がはっきり出ず、花があまり平開しないようです。
「イヌ」というだけに、これは紫根染料は採れないようです。
また、ヨーロッパ原産の「西洋ムラサキ」というのも帰化しているようなので、見分けに注意が必要です。
西洋ムラサキは、花が全体に黄色みを帯び、毛が細かく、株が枝分かれして茂るようです。