ヒトツボクロ (ラン科ヒトツボクロ属)【一黒子】
(Tipularia japonica)
特徴的な葉を一枚だけ地面に生やし、そこから花茎を伸ばして5-10個の花をつける小さな地生ランです。
葉は中央に白線が入り、縁が細かく波打ち、裏面が赤紫色の特徴的なものなので判りやすいのです。
しかし、花茎が細く暗い茶色で、花序もたいへん細かく花色も地味なので、眼が慣れないと見つけられません。
花の形や感じは「ムヨウラン」に似ていますが、はるかに小さなものです。
7-8mmしかない花をよく見ると、唇弁は3裂し両側の2裂片は突き出して紫がかっています。
細長い距が後ろに突き出し、上向きに時には垂直に近く立っています。
とても小さいので写真がうまく撮れませんが、唇弁の中央裂片に水滴のようなものが見受けられます。
雨の後ではないので、これは立っている距から流れ出した蜜なのでしょうか。
地面に何枚か葉があるところでも、花茎の立っているものは少ないので意外と花付きが悪いようです。
本州、四国、九州に分布し、落葉広葉樹林やアカマツ林の林下に生育します。
東京都:絶滅危惧Ⅱ類(VU)