サクラソウ (サクラソウ科サクラソウ属)【桜草】
(Primula sieboldii)
国指定特別天然記念物の田島ヶ原サクラソウ自生地を見てきました。
4/19日には恒例のさくら草祭りが開催されるそうですが、すでにほぼ最盛期なのかもしれません。
ここは荒川の河川敷を保護地にしたところで、江戸時代からのさくら草の名所の最後の大きなエリアだそうです。
昔は何度となく遊びに来ていた秋ヶ瀬公園の隣なのに、その頃はあまり興味がなかったので花の時に来たのは初めてです。
来てみると若干イメージと違い、まるで菜の花畑のような雰囲気。
これは、サクラソウと生息地を同じくする「ノウルシ」が満開状態のためです。
ボランティアガイドのおじさんのお話では、年々サクラソウがノウルシ群落に圧迫されてきているそうです。
「半分ぐらい間引きしたい」とおっしゃってましたが、実は「ノウルシ」自体も準絶滅危惧種で保護対象なので手がつけられないそうです。
今年は降雨が少なく寒かったせいで、サクラソウの成長はよくないとのこと。
もうひとつは、荒川の氾濫防止に整備されたスーパー堤防のために、ここに定期的に流入していた上流からの泥の氾濫がなくなり、土地の栄養補給が途切れてしまっているという説明でした。
夏にはこの場所はオギやヨシが一面に2-3mも伸びた原となり、冬枯れの時期に枯れ草の野焼きを行うことで栄養補給になっているとのこと。
何故個々の植物はそれほど弱いわけではなさそうな何種もの絶滅危惧種が揃っているかというと、要はここのような土地環境が絶滅危惧状態ということです。
河川敷の氾濫原や湿地帯はそれ自体土地の価値が無く、日本全国で堤防整備、排水事業と公園造成、ゴルフ場開発、工場や宅地、施設用地の造成などで、ありふれた環境のはずが今や貴重な状態です。
荒川の流域でも、過去のサクラソウの名所とされるところは20箇所くらいあったそうですが、現在はここを含めて2箇所だそうです。
ボランティアの方々が行政と連携して、外来植物や帰化植物を手作業で食い止めているお陰でこの土地本来の植物相をほぼ保っているようです。
環境省カテゴリ:準絶滅危惧
同じエリアに繁殖する「ノウルシ」とのせめぎ合いとなっています。
白花のサクラソウ。この広い園内にも数株しかないそうです。