エゾシマリス (リス科)【蝦夷縞栗鼠】
(学名 Tamias sibiricus lineatus)
大雪山黒岳の山頂で、ガスのかかった岩礫地になにやら小動物が飛び出してきた。
周りに居合わせた登山者が騒ぎ出す。
一匹のシマリスが山頂広場の真ん中に出てきたのだった。
なにしろすばしこいので、動いている間はカメラで追えるものではない。
瞬時瞬時に止まってあたりを窺うので、その瞬間だけ数ショット撮ることができた。
リスといえば森の中というイメージだが、実はエゾシマリスは樹上より地上生活がメインだそうである。
それにしても、大雪山の1900m以上の山頂という、完全に高山帯のエリアに現れるとは驚いた。
すぐ近くには天然記念物の「ナキウサギ」が住む岩場があるような場所である。
見た目の美しさと可愛いさで人気のシマリスは、何種類もあるそうですがほとんどが北米産で、ユーラシアにはヨーロッパから極東まで「シベリアシマリス」のみということです。
日本では北海道だけにいるシマリスが「エゾシマリス」ですが、「シベリアシマリス」の亜種で、北海道、サハリン、北方領土のものが同じ分布域のようです。
国内では一般の捕獲飼育が禁じられているので、ペットとして販売されているシマリスは輸入された「チョウセンシマリス」です。
これも「シベリアシマリス」の亜種ということで、「エゾシマリス」に近いものですが、ペットが逸出して野生化した「チョウセンシマリス」が本州でも北海道でも定着してしまっており、「エゾシマリス」との交雑が懸念されるということです。