サンインタチツボスミレ(仮称) (スミレ科スミレ属)【山陰立坪菫(仮称)】
(Viola sp.)(学名無し) 別名:タチツボスミレ山陰型
これは「タチツボスミレ」の仲間のひとつには間違いないのですが、和名も学名も不確定で分類学上の地位も定まっていない種類です。
一般的なタチツボスミレよりも小型で茎があまり立ち上がらず地面を這う感じで、葉の基部が心形にならず切型で葉脈が目立たないとされています。
分布の中心は西日本の日本海側ということで「山陰型」と称されていますが、山陰の言葉に引きずられると間違いで、分布域は広く九州北部から山陰、北陸、東北地方まであります。
また、主に日本海側ですが瀬戸内海沿いや愛知県など、さらにはこの群馬県北部にまで隔離分布しているようです。
実物の全体印象としては繊細で弱々しく、葉の色が明るくのっぺりしてあまり先が尖らず、葉の地上茎分岐が少なくロゼット状に生える感じです。
花は出会ったものに関しては色がピンク系で淡く距が白っぽく直線的で、花弁も細身で先が尖っていました。
この点で「ツルタチツボスミレ」かとも思いましたが、何よりも匍匐枝が見当たらず、群生せずぽつぽつと単独で生えています。
場所的には群馬県北部の標高800m前後の日当たりのある林道沿いで、「マキノスミレ」や「オオイワカガミ」も生えるようなところです。
通常のタチツボスミレとの交雑も当然考えられるので、中間的な形態のものも混在しているようです。