クガイソウ (APG:オオバコ科クガイソウ属)(ゴマノハグサ科)【九蓋草】
(Veronicastrum japonicum)
純然たる高山植物というわけではありませんが、標高の高いところに多い山地や高原の花です。
藤色から白色の円錐状の総状花序は綺麗なグラデーションになるので、淡い色合いの穂が幻のように揺れる風情が独特です。
綺麗な穂状の花序をなすクガイソウの個々の花は、クガイソウ属特有の形状で、筒状の花冠の先が4裂し長い雄蕊は2本です。
この独特の形状が同じなので、全く姿の違う「スズカケソウ」なども同じクガイソウ属となっています。
5-6枚づつ輪生する葉が何層にも段々になっているのが特徴で、ここから「九蓋草」「九階草」という語源になったという説があります。
谷川岳の天神平では、7月ニッコウキスゲが咲き始めるころ、クガイソウの花穂が絶妙なグラデーションの色を見せていました。
糸魚川の「マイコミ平」で9月中旬でまだ咲いているというのは、ここの特殊気候のせいでしょうか。
この咲いている場所は、日本で二番目に深い竪穴鍾乳洞「青海千里洞(405m)」の洞口のすぐ前です。
巨大なドリーネ(カルスト地形のすり鉢状窪地)の中で、まだ若干の残雪も残っているうえ、洞口から冷気が湧きだしていて夏の間も寒いのです。
花期も終わりなので寂しげな風情です。