ニホンジカ (偶蹄目シカ科シカ属)【日本鹿】
(Cervus nippon)
鹿の子供は確かに可愛いし、大人の鹿も姿は美しいし山中で見かければ得した気にもなりますし、山に響く鳴き声も風情があります。
しかし、今や現在各地で個体数が増えすぎ、まさに山野草愛好家の天敵のようにもなっています。
地域によっては低山のヤマビルやダニがとても増えて、これも登山者には悩みの種になっています。
本来の生息域である里山から中山間地などの広葉樹林帯だけでなく、亜高山から高山帯にまで進出しているため、希少な植物が絶滅の危機に瀕している場所がたくさんあります。
各地で設置されている「鹿よけ柵」やフェンス、ネットによって希少植物や造林地の防護が進んでいますがもちろん山林の一部であり、森林生態系への負荷はかなりのものと思われます。
といって狩猟による淘汰圧もそこまで拡大できないでしょうし、根本可決はなかなか難しいでしょう。
それこそ、生態系内にオオカミでも復活させるしかないのでしょうか。
一方、奈良では山沿いだけでなく市街地の中心部に多くの鹿が闊歩してして何とも不思議な風景です。
外国人観光客が鹿せんべいを与えて鹿とお辞儀しあっているシュールな光景が多く見られます。
インバウンド観光収入に果たす効果はかなり大きいと思われますね。
日本のシカは全体として「ニホンジカ」一種ですが、北海道の「エゾシカ」をはじめ、ホンシュウジカ、キュウシュウジカ、マゲシカ、ヤクシカ、ケラマジカ、ツシマジカと地域亜種に分けられるそうです。
広島県の宮島(厳島)の鹿は、6000年ほど前に本土と分断された個体群だそうで、確かに奈良の鹿と印象が違い、毛色が黒っぽく小柄な感じがします。