ハイマツ (マツ科マツ属)【這松】
(学名:Pinus pumila)
日本アルプスを代表とするような高山の景観に欠かせない低木です。
日本では北海道から中部山岳までの分布となり、南限は南アルプスの黒法師岳付近とされています。
それより南や西の森林限界上の尾根では笹類がとって代わる感じでしょうか。
ハイマツの低く地を這う樹形は激しい風雪によるもので、風当たりの弱いところでは背丈を越え2m以上になっているところもよくあります。
しかし、そもそもハイマツの樹形は基幹がはっきり立たないごちゃごちゃした枝ぶりが特徴のようで、植物としての個性と環境の両方で這っているようです。
分類的には「ゴヨウマツ」の仲間で、葉が5本セットになっています。
また、花は雄花と雌花がつき、時期にはどちらも赤くなり、雄花は完熟すると黄色い花粉を撒きます。
雌花は受粉後2年ほどかかって「松ぼっくり」となります。
松ぼっくりとなる実は、ホシガラスの大好物で、ホシガラスが餌を岩陰などに隠す習性がハイマツ分布の拡大に貢献しているそうです。
ハイマツは風衝地では横へ横へと伸びてゆきますが、その途中で幹や枝から根を出して、全体として成長しながら移動してゆきます。
そのため、発芽した元々の部分が枯れていてもその先の部分は生き延び、長い寿命をもちます。
高山での生育速度はたいへん遅いので、十数メートルも伸びた大きな株では数百年はたっているものと思われます。
【Youtube 山川草木図譜チャンネル】