69 (東京・銀座)
何やら怪しげなマッチデザインだが、銀座の老舗。
私自身は全く知らないが、銀座らしくオーソドックスなフォービート中心の正統派だったようだ。
前田憲男、マーサ三宅、今田勝などのライブも盛んだったようだが、1980年代に閉店。
マッチは頂きものです。
渡良瀬
DENON -1982-
CONTENTS
A:SOMEDAY MY PRINCE WILL COME,MSUNDUZA,I CAN’T GET STARTED,TONE
B:WATARASE,MISS CANN,GOOD BYE
板橋 文夫 solo,
昔の生の板橋文夫を何回か聞いた。
何回かは、今はなき「タロー」で。
何回かは「アケタの店」で。
怒涛のような音に圧倒された。
あふれるパワーで押しまくるフレーズの嵐に張り倒される感じだった。
でも、このアルバムを聞けば、板橋が怒涛の激情ばかりの人でないことがよく判る。
「渡良瀬」というテーマのゆえか、むしろ本質は抒情の人なのかもしれないと思う。
あくまで昔の話である。
不勉強にして、今はどうなのか知らない。
SUPIRITUAL UNITY
ESP -1965-
CONTENTS
A:ghosts:first variation,the wizard
B:spirits,ghosts:second variation
Albrt Ayler,Gary Peacock,Sunny Murray,
「破壊せよ、とアイラーは言った」という本があるが、アイラーは本当にそんなこと言ったのだろうか?
アルバート・アイラーの音色には独特の「艶」がある。
フリージャズというジャンルの観念的・破壊的イメージだけで食わず嫌いの人がいたらぜひ一度アイラーの「音」を聞いてみてはいかがだろう?
前衛芸術といった理論や観念ではなく、生身の人間の肉声がそこにある。
楽器の音にも色気というものがある。
サックスの音色は特に人間的な色気があるのだが、アイラーの出す音は「セクシー」という言葉でもぴったりだ。
フリージャズの難しい理論は判らないが、この音の艶を聞きたいがために時々これらのアルバムを引っ張り出すのだ。
音の話とは別だが、このESPレコードのシンプルにして安っぽい装丁のジャケットも最高。
MY SONG
ECM -1978-
CONTENTS
A:QUESTER,MY SONG,TABARKA
B:COUNTRY,MANDALA,THE JOURNEY HOME
Keith Jarrett,Jan Garbarek,
Palle Danielsson,Jon Christensen,
キース・ジャレットのベストと言えば、「ソロ」か「ケルン」ということになるんでしょうが、 私のベストは「マイ・ソング」。
あまりジャズっぽくないけれど、エスニックなポップ感覚があって楽しいんです。
ヤン・ガルバレクのサックスは北欧独特の感覚があるみたいで、スキーでもアルペンとノルディックがあるように、 この北欧ユニットは何やらエスニックを引っ張っていて面白い。
そういえば、ドン・チェリーのオーガニック・ミュージックにも参加しているなあ。
この「マイ・ソング」は、あまり気に入っていたので、自分の結婚式披露宴の花嫁入場の音楽に使ってもらったのでした。
そういう意味でも思い出深い「まい・そんぐ」なのだ (^^)。
Art Pepper meets The Rhythm Section
Contemporary -1957-
CONTENTS
A:You’d be so nice to come home to,Red Pepper Blues,
Imagination,Waltz Me Blues,Straight Life,
B:Jazz Me Blues,TinTin Deo,Ster Eyes,Birks Works,
Art Pepper,Red Garland,
Paul Chambers,Phylly Joe Jones,
これは、誰に見せても名盤ということで異存あるまいと思う、「名盤」。
まるで、ジャズというのはこういうものなんだよ、というJAZZの「お手本」という感じで、 逆にあまりにでき過ぎの感さえしてしまう。
これほどまでにまとまりの良いセッションを、いい音質で録音させているアルバムだから、 特に昔はフリー系のジャズに疲れたときによく聞いていた。
ペッパーのアルトの乾いた切れの良い音色が実に明快でさわやかだ。
「You’d Be So Nice To Come Home To」もヘレン・メリルの例の名演と趣を異にして、なんか優雅な感じさえする。
のちの、モード奏法など取り入れた後のペッパーも嫌いじゃないが、このアルバムのころが前期の全盛期なんでしょうね。
THE PHIL WOODS SIX
live from THE SHOWBOAT
RCA -1976-
CONTENTS
A:A Sleepin’ Bee,Rain Dance,Bye Bye Baby,Django’s Castle,
B:Cheek to Cheek,Lady J,Little niles,
C:A Little Peace,Brazilian Affair,
D:I’m Late,Superwoman,High Clouds,How’s Your Mama,
Phil Woods,Mike Melillo,Harry Leahey,
Steve Gilmore,Bill Goodwin,Alyrio Lima,
その他大勢(^^;
フィル・ウッズの音は、白人らしくあまりねちっこい感じが無くて日本人好みのあっさり感があるのだが、 時にはそれがもの足らない感じのときもある。
だが彼のノリの良さは、ラテン的なユニットの中で突っ走るとき、異常なスピード感と疾走感で聞き手をジェットコースターに 乗せてくれる。
このアルバムのC面のBrazilian Affairがそうだ。
ラテン的アレンジの息をつかせないメドレーは緩急自在に次々と走り、中でも蒸気機関車のイメージでサウンドを作ったような曲は 、まさにイメージ通り特急列車のスピードでドライブして、聞き終わった後はスポーツで汗を流したような快感があるのだ(^^)
FENIX
Flying Dutchman -1971-
CONTENTS
A:Tupac Amaru,Carnavalito,Falsa Bahiana,
B:El Dia Que Me Quieras,El Arriero,Bahia,
Gato Barbieri,Na Na,Gene Goldon,Lennie White,Ⅲ,Joe Beck,Ron Carter,Lonnie Liston Smith,
Joe Bonner,David Friesen,Malcom Pinson,
ガトーももちろん、トレーンの流れのプレイヤーだが、ラテンの血、第三世界といったエスニックなアイデンティティの 方向に向かった点でチャーリー・ヘイデンやなんかのやっていた当時の時代の流れを一番感じさせる。
今これを書いてて初めて気づいたが、A-1のタイトルが「トゥパク・アマル」となっている。
これは、あのペルー日本大使館占拠の「トゥパク・アマル」のことなんだろうか。
第三世界の開放と革命の夢が輝いていた時代だったのかも知れない。
まさに、激動の60年代から混迷の70年代に移る時期を象徴しているようではある。
それはともかく、ガトーのあのハイノートで叫ぶ音は暑い夏に似合って快感です。
A-2の「花祭り」なんか理屈抜きに楽しめます (^^)
BLACK SAINT
BLACK SAINT -1975-
CONTENTS
A:Dance Eternal Spirits Dance!,Croquet Ballet,
B:Call Of The Wild And Peaceful Heart,
Billy Harper,Virgil jones,,
Joe Bonner,David Friesen,Malcom Pinson,
コルトレーンの流れをくむと言われるテナーは数多いが、あまりアバンギャルドに走らず トラッドな直球勝負という感じの代表の一人としてビリー・ハーパーがいる。
この人のプレイを見ていると直立不動で豪放な音を出すという感じで、 トレーンの系列の人の多くが何となく「よじれた」音で叫ぶのに比べて、 何となく孟宗竹の太い幹のような感じで真っ直ぐなイメージがある。
トレーン系であるのは間違い無いのだが、どことなく一種ロリンズ的な印象をうけるのは 何だろうか?
あくまで「黒い」音で背筋の伸びた演奏をするミュージシャン。という印象が深い。
RETURN TO FOREVER
polydor -1972-
CONTENTS
A:Return to Forever,Crystal Silence,What Game Shall We Play Today,
B:Sometime Ago-La Fiesta
Chick Corea,Joe Farrell,Flora Prim,
Stan Clarke,Airto Moreira,
’70年代を象徴する、良くも悪くも話題作だったアルバムで、 「クロスオーバー」と言われたニューミュージック・ジャンルの典型とされたレコードだった。
当時、硬派を気取っていた感覚からすると「軟弱」なジャズもどきの代表といった感じで、 これを好きだと言うと何だかミーハーのようで、気恥ずかしい感じだったが、 実はたいへんよくできたアルバムで、やはり今にして思えば名盤だったのだろう。
最近、車のコマーシャルで使われていて懐かしいのでCDを買ってしまったが、決してうまいとは言えないフローラ・プリムの歌を知らず知らず口ずさんでいたりする。
スパニッシュやラテンのリズムや旋律を多用した点でエスニック・フュージョンとでもいえるのかもしれない。
SMOKIN’ AT THE HALF NOTE
Verve
CONTENTS
A:NO BLUES,IF YOU COULD SEE ME NOW
B:UNIT 7,FOUR ON SIX,WHAT’S NEW
Wes Montgomery,Wynton Kelly,
Paul Chambers,Jimmy Cobb,
ウェス・モンゴメリーは何となく「シャリコマ」の芸人というイメージもあるが、 このアルバムを聴けば、「シャリコマ?いいじゃない」と思う、ノリノリの職人芸の世界。
グラス片手にこんなライブにはまれればサイコーでしょうな。
ギターを弾くのが楽しくて楽しくて、という雰囲気がビシビシ伝わってきて、 小難しい理屈はどっかに飛んでってしまう一枚。