小平鍾乳洞

(おだいらしょうにゅうどう)
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群馬県みどり市 (全長93m)WEB
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群馬県大間々の近くの里にある小平鍾乳洞は、明治7年に発見され観光洞として一般公開されていましたが、その後10年ぐらいのうちに入り口が埋まってしまい、そのまま忘れ去られていました。
伝説だけが残っていましたが、現代になって古老の言い伝えを基に、昭和59年に再発見されました。

小平の鍾乳洞は、以前に日光に山登りに行った帰り道、渡良瀬川ぞいに車で走っていて、偶然に看板を見つけて寄ったことがあります。
こんなところに鍾乳洞があるなんて聞いたことがなかったので、どうせ大したものではないだろうと思いましたが、小さいながら意外と良い鍾乳洞でした。
再発見が新しいだけに、最初から保護手段を講じて計画的に観光化したのが良かったのでしょうね。
小さい洞窟だけに、出入り口にドアをつけて開放しないやり方は良いと思います。
あの規模で開放してしまえば、きっとすぐに乾燥化が進んで生成物や洞内環境が破壊されてしまったでしょう。
周辺の公園もきれいに整備されていて、変なふうにに観光化していなかったのでとても好印象でした。

さて、その後数年前にまた奥日光に行った帰りに渡良瀬川を下ってきて寄ってみました。
以前来た時は周りの公園や施設が整備中だったり、まだできたばっかりでしたが、今回は年月があってしっとり落ち着いた風情となっていました。
夕方近いこともあって、ほかにまったく誰もいない状態で久々に観覧させてもらいました。
というか、平日なのでややさびれた感じも・・・(^^;
・・・受付の仕事はメチャメチャ暇でしょうね。

再度見ても小さな鍾乳洞なのですぐに見終わってしまうのですが、細かく見ていくと意外と保存状態のよい鍾乳管やフローストーン、ヘリクタイトなどが見られます。
この鍾乳洞は洞窟自体は短く単純であまり面白くはないのですが、じっくり細かいところを探っていくといろいろな発見があります。
じっくりとそういう楽しみ方をすれば、やはり一見の価値があります。
何もない田舎にぽつんとある鍾乳洞ですが、村おこしに協力する意味でも、皆さんも一度行ってみてください。

2010 by 猫仙人


入り口と受付。  併設の湿生植物園と兼ねています。

入り口と受付。
併設の湿生植物園と兼ねています。

規模は小さいながらも、2次生成物はあちこちに保存されている。 かわいい石筍群。

規模は小さいながらも、2次生成物はあちこちに保存されている。
かわいい石筍群。

奥まったところを覗き込むと、小規模ながら綺麗なフローストーン。

奥まったところを覗き込むと、小規模ながら綺麗なフローストーン。

 ストローのでき始めも見られる。

ストローのでき始めも見られる。

洞内の整備状況は整っているので、一般の方がドライブ途中に立ち寄っても問題ない。

洞内の整備状況は整っているので、一般の方がドライブ途中に立ち寄っても問題ない。

ボックスワーク構造に沿ってできるストロー群。

ボックスワーク構造に沿ってできるストロー群。

クラゲのようなフローストーンの左上には珍しいヘリクタイト。

クラゲのようなフローストーンの左上には珍しいヘリクタイト。

  一方通行の出口は人工トンネルから退出です。

一方通行の出口は人工トンネルから退出です。

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この鍾乳洞は明治七年二月八日現在地で石炭岩を採取中に発見されたものです。当時一人当たり百六十文の入洞料で一般の人に参観させていたともいいます。その後、十年くらいで入口が何かの理由で埋まってしまいました。その理由は今でも判明されていません。後年になって、何回か地元の有志で再開発を試みたのですが発見には至らないままになっていました。
しかし、昭和五十九年、地元からの陳情を受けて、町が古文書などをもとに発掘した結果、同年十月二十四日に入口を発見することができました。明治大学地底研究部員によって内部を調査した結果、洞内の深さが約九十三メートルあり洞内二次生成物のなかには、二本の鍾乳洞の中でもあまり見られない、ヘリクタイト(重力の原則に反して曲がっているストロー)、ヘリグマイト(同じくモヤシ状になっている)、ボックスワーク(箱状のもの)など、非常に貴重な生成物があることが分かりました。規模は小さいですが発見の経緯とともに、学術的にも貴重な鍾乳洞なのです。

– 現地説明板より –


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