「新マイコミ」は、大マイコミ同様、河原沿いの岩壁下に川が吸い込まれていくところだが、田海川源流域でも大マイコミよりも上流にあたる場所にある。
水量は少ないが、左から流れてきた小川が途中の岩のところで途絶える。
河原の広がる何の変哲もないところだが、小さな流れが岩のすき間に流れ込んでいる。
例によって、流れてきた木や小枝が詰まっているが、ガイドさんが棒でつついて流れをよくすると、俄然スムーズに流れこむようになった。
ツアー客も面白がってストックなどでつついてみる人がいたが、ガイドさん曰く「あまりやると、崩壊して大洞窟が開いちゃうかもしれないから危ないですよ」。
もちろん冗談だが、このマイコミ平では、あながち絶対あり得ないとは言い切れない。
この上流の小川には、イワナが住んでいるそうだ。
下流から上ってくることは絶対不可能な小川なので、人が放したのでなければ、マイコミ平が生成して田海川が涸れる以前の太古から住んでいるのだろうか?
この新マイコミの排水力は限られるので、増水時には川の水はどんどん下流に流れるが、もしこの新マイコミの穴が発達して大きな竪穴となっていったとき、下流の大マイコミはその生命を失ってゆくのかもしれない。
そしてこの新マイコミの下に、第二の奴奈川洞が育っていきつつあるのかもしれない。
すなわち、マイコミ平は常に生きて変化し続けているのだ。