入水鍾乳洞

(いりみずしょうにゅうどう)
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福島県田村市(旧:田村郡滝根町) (全長900m 観光部分150m 探検コース750m)【WEBサイト】
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観光お気軽冒険者の中で、今や知る人ぞ知る有名なスポットとなっている入水洞。

有名な「あぶくま洞」のそばにあり、あぶくま洞より古くから知られている鍾乳洞です。
昭和2年に発見され、地元の人々の尽力で昭和9年に天然記念物に指定されました。

決して規模の大きな鍾乳洞ではないのですが、ここの最大の価値は、一般観光コースの奥に続く「冒険コース」。
照明設備なしの区間が700mほど続く地底河川の洞窟が、他に類を見ないお気軽ケービングのルートとして人気を呼んでいるのです。

最初の約150mが照明と通路完備の一般観光Aコース。
とはいえ、数段続く洞内の滝を非常階段のような通路で登ってゆくルートなど、地形的にはかなり急峻なものです。
観光照明の無くなるところからは、整備された通路は無くなり、洞内を流れる川の中を冷たい水に入って進んでゆくことになります。
これがBコース始まりの「音楽洞」と呼ばれる通路で、この先は似たような幅の狭い廊下状の水路が続いてゆくのです。
Bコースの終点とされているのが、「かぼちゃ岩」という特徴的な鍾乳石のあるところで、この先Cコースは案内ガイドが必要とされています。
地下水の吐き出し口が入り口となる、「吐き出し型鍾乳洞」で、人が入れる部分としては行き止まりなので、必ず往復コースとなります。

今回この冒険コースに挑んだのは、自分と女房と高校生の息子、プラス小学生の甥と大学生の姪も飛び入り参加で混成探検隊。

準備おさおさ怠りなく、足元は渓流釣りに使う防寒ネオプレンソックス、濡れても大丈夫なナイロンズボン、20年以上も眠っていた、昔のロッククライミング用ヘルメットにヘッドランプ。
格好だけは本格ケービングスタイル。
あぶくま洞の探検コースでまず足慣らしをして、腹ごしらえをしてからいざ入洞。
もちろん目指すはBコース終点かぼちゃ岩。

20年以上も昔、たまたま独りで立ち寄って観光したことがあったのですが、そのとき、ひと気のない音楽堂をライターの明かりで独りで覗き込み、ぞっとする思いで帰ってきたことがあります。
その音楽洞の水流に20数年後ようやく足を踏み入れます。
ネオプレンソックスのお陰で全然大丈夫ではありますが、足首ぐらいの深さのかなり冷たい水の中を進んで行きます。
Bコースには照明はありませんが、安全のための工事用誘導ランプが要所要所に設置されています。
通路の傾斜はほとんど水平の廊下状で、天井の低い部分はかがんで歩く程度、高い部分は数十mありますが、幅は広いところでも2-3m。
最大の難関、「第一胎内くぐり」は、人ひとりがようやくくぐれる鍾乳石の隙間をすり抜けなければなりません。
かなり太った方は通過不能かもしれません。
「第二胎内くぐり」では、幅はあるものの天井が低くなった通路をほとんど水中四つんばい状態で抜けなければならず、かなり冷たい思いをします。
通路はさまざまに変化しますし鍾乳石などの見所も登場しますが、全体の印象としては、まるで下水管の中を彷徨っているような洞窟です。

今回はたまたま水量が少なめだったようで、当初思っていたほどの苦労もなく行って来れました。
二十歳のお嬢さんである姪が心配でしたが、全然問題なくたいへん楽しんでいたようでした。
小学生の甥は帰り道の第二胎内くぐりなどは、ほとんど泳いで喜んでいました。

装備のおかげと水量が少ないせいで、水の冷たさはほとんど気にならず(四つんばいで手が冷たいのと、しゃがんでお尻が冷たいけど)、 夏休みとはいえ平日のやや遅めの時間のため、混雑も殆ど無く満喫できました。
かぼちゃ岩の先のCコースもちょっとだけ覗いてきましたが、水深が深めで天井の低い入り口区間を抜けると、しばらくはBコースとあまり変わりありません。
といっても、幅の狭い廊下状の水路は激しく蛇行して、途中で道が塞がれている箇所に行き当たり、「第一胎内くぐり」をもっと狭くした穴を 無理にもぐるか、左手の岩場を登って迂回するしかないと思われる地形のところで引き返してきました。

帰りの深水洞付近の水流中に、サンショウウオが泳いでいるのを発見。
新種の洞穴生物発見か!?
後で調べるとどうも、普通のクロサンショウウオかトウホクサンショウウオのようです。
他に、小さなカゲロウの幼虫かカワゲラらしき虫も何匹か発見しました。
これらの水生昆虫をえさに生きているというより、山中の吸い込み穴や沢などからみんな増水時に流れこんできたものと思われます。

楽しんでいるようでも入っているときは結構必死だったようで、先へ行くことはあまり考えませんでしたが、帰ってきてから思うに、やはり最初からCコース最終点を目指すべきだったとも思っております。
受付で他にCコースの説明を受けている人たちがいましたが、どうも案内なしで注意点だけ説明して行かせるようでした。

きっとそのうち最終地点を目指して、また行くことになるかもしれません (^^;

2006 by 猫仙人


入水鍾乳洞入り口
入水鍾乳洞入り口

にわか探検隊員
にわか探検隊員たち

冒険コースに突入。通路イコール水路になっている。水はたいへん冷たい
冒険コースに突入
通路イコール水路になっている
水はたいへん冷たい

まさに地底の川
まさに地底の川

洞内の様相は様々に変化する
洞内の様相は様々に変化する

高くなったり低くなったり
天井も高くなったり低くなったり

途中でローソクが消えてしまっても自力で帰れるように Bコースは誘導灯が設置してある
途中でローソクが消えてしまっても自力で帰れるように Bコースは誘導灯が設置してある

進むにつれ、手足だけでなくお尻まで濡れてしまうことになる
進むにつれ、手足だけでなくお尻まで濡れてしまうことになる
このときは水量が少ないので楽なほうでした

冷たい水路をほとんど四つん這いで進む区間も
冷たい水路をほとんど四つん這いで進む区間も

狭く曲がりくねった洞内をひたすら進む
狭く曲がりくねった洞内をひたすら進む

写真では判りにくいが、水流に磨かれた大理石の床にはずっと透明な水が流れている
写真では判りにくいが、水流に磨かれた大理石の床にはずっと透明な水が流れている

Bコース終点となる「かぼちゃ岩」。この先は要ガイドのコース
Bコース終点となる「かぼちゃ岩」
この先は要ガイドのコースとなっている

この先が「Cコース」。天井が低く水深の深い部分が続く
この先が「Cコース」
天井が低く水深の深い部分が続く

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★付記:入水洞冒険コースに行かれる方へ★

「Bコース」は基本的に危険はほとんどありません。子供でも行けるルートです。
ただし、暗い・狭い・冷たい、は絶対避けられませんので、閉所恐怖症の方、腰痛の方、うんと太った方にはオススメしません。 (当たり前ですね (^^; )
現地でローソクは置いており、それも風情があっていいとは思いますが、万一の場合のことなど考えると懐中電灯は必ず別途必要です。
履物はビーチサンダルや長靴という人が多いようですが、濡らして構わないスニーカーを用意してざぶざぶ入っていったほうが安全で快適です。
岩の間を長時間歩き、涼しいところに濡れながら居るので、なるべく木綿でないナイロンやポリエステルの長袖長ズボン(または合羽)が安全。
最終的には全身濡れると思って、そのつもりで着替えを準備しておいてください。
背の高い人はかなり頭をぶつけるので、できればヘルメット、そこまでしなくても帽子は被っておいたほうが良い。
「Cコース」はガイド必須ですが、ときによっては、注意事項の説明だけで客だけで行かせることもあるようです。
一部岩場で危険なところもあるらしいので、説明をよく聞いておくこと。

最新情報は現地へ。
入水鍾乳洞管理事務所  TEL:0247-78-3393(代) WEB


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