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洞窟やケービングに関する参考文献
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自然界のふしぎ
原田三夫 偕成社 1962年
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洞穴関係専門の本ではなく、当時ジュニア向け科学エッセイストとして大活躍されていた原田氏の大自然の驚異全般に関する本。
主に地質学的興味について多く語られている中の一項として「奇岩と怪洞」というコーナーがあり、鍾乳洞、溶岩洞、海蝕洞が解説されている。
自分が自然科学全般に興味嗜好をもつにいたった原点の書であり、「家宝」としたい本である。
洞穴学ことはじめ
吉井良三 岩波新書 1968年
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これは私がアームチェア・スペレオロジストになるきっかけの書であった。
本格ケービングに憧れ続けながらもそのまま年をとってしまったが、今もたまに観光洞でわくわくしたりしている。
著者は京大の生物学の教授だが、エッセイストとしても素晴らく楽しい文章で、秋吉台や竜泉洞、安家洞などの初期探索のくだりなど淡々としながらも情熱が伝わってくる。
日本の近代洞窟探検の歴史の一端もよく判る、洞窟探検と生物学に興味のある人には絶対オススメの書。
洞穴から生物学へ
吉井良三 NHKブックス 1970年
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吉井氏の「ことはじめ」に続く書であり、前書よりもケービングの実際を描いており、ここで具体的に出てくる「嵩山蛇穴」に憧れた方や実際に行った方はかなり多いだろう。
この本の後半は、主題となる生物学の話になるが、専門のトビムシ研究を通じて、生物分類学の実際、また、生物の進化・退化とは何か?
また、生物の特殊化の問題から生物多様性、ひいては進化論から社会論に繋がるところまで考察は広がる。
知的ゲームの世界にぐいぐい引き込まれるような名著といえるだろう。
洞穴探検
山内浩 筑摩書房 1964年
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おそらく日本における最初の一般向け総合ケービング本ではないか。
鍾乳洞や洞穴の科学的解説から探検のアウツーまで総合的にまとめられた、たいへん読み応えのある書である。
なにより、龍河洞探検・開発を中心とした黎明期の全国洞穴探検記が圧巻。
前述の吉井氏との共同探検も多い。
現在ではかなり入手困難な本である。
幻想の地底への誘い
あぶくま洞・入水鍾乳洞
高橋紀信著 鈴木勝治発行 1979年
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福島のあぶくま洞現地で販売していたローカル出版であり、他所では入手困難ではないかと思われる。
滝根カルスト現地で入水洞を発見し、その保護と開発・啓蒙に全力を捧げた先人・鈴木菊意氏、関根貞三氏に捧げた書としている。
入水鍾乳洞の発見からの歴史、あぶくま洞発見から開発の経緯、各洞の案内紹介と鍾乳洞の解説と、中身の濃い内容がコンパクトにまとまっている。
いかにも地元の自然遺産への愛情が感じられる。
ケイビング 入門とガイド
近藤純夫 山と渓谷社 1995年
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ヤマケイ・アドバンスドガイド・シリーズのハウツー&ガイドブック。
ケービングについての一般向けメジャー総合ガイドブックは上記山内本以来ほぼ唯一ではないだろうか。
ハイキングと違って初心者がガイドブックだけで始めるということに無理があり、紹介されている洞穴も現在一般立ち入り禁止も多く、一部では洞穴情報自体が伏せられている以上、この形態のガイドブックとして出版されるのは今後もおそらく無いのではないだろうか。
これも現在入手しにくくなっているようである。
ちなみに著者の近藤氏は仙人の知り合いであるが最近はハワイの溶岩洞穴専門のようだ。
洞穴探検入門
エリック・ジッリ著 本田力訳 2003年
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フランスの地質学者による、その名のとおり洞窟探検の入門書。
入門書といっても、もちろん本格ケイビング全般の入門書だから、まったくの素人向けというわけではない。
スポーツケービングの技術全般について論じている。
比較的新しいので、現代の探検方法を概観するにはよいと思われる。
素晴らしき地底の世界
日本テレビ 探検と科学シリーズ1 1982年
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大判で海外や国内のカラー写真も豊富に掲載されている、なかなか優れた本だと思う。
日本のケイビングの歴史や、日本や世界の大洞窟紹介、技術や地質・生物など、各論はそれほど深くはないが幅広い話題を網羅していて、素人洞窟趣味人にはたいへん興味深く読める。
古書店などで見つけたら入手をおすすめする。
日本列島洞穴ガイド -暗黒の世界への旅-
加藤 守 コロナ社 1981年
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一個人が全国の公開洞窟をこつこつと探訪して案内している、すごい力作といえるガイド本。
古いので現在の具体的なガイドにはなりにくいが、マイナーな洞窟や今は一般公開されていない洞窟なども見られる。
この著者も「洞穴学ことはじめ」を読んで洞窟探訪にはまってしまった方のようである。
未踏の大洞窟へ 秋芳洞探検物語
櫻井進嗣 海鳥社 1999年
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洞窟探検の中でもさらに一番過酷な「ケイブダイビング」により、秋芳洞の最奥部の先に新たな洞窟を次々と発見してゆく壮絶な探検物語。
と、同時にそれ以上に感動し切ないのが著者の「愛」と「人生」の物語とその行方だ。
ただの洞窟探検記ではなく、ケイビングの歴史や紹介という以上に、若き探検家の生命と人生を賭けた壮絶な一代記である。
全ての人にオススメする感動の一冊。
もっと深く 地球の穴と遊ぶ
近藤純夫 岩波書店 1990年
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「地球クラブ」を主宰する著者と仲間たちによる、パプアニューギニア学術調査とトルコ・アナトリア洞窟群調査のドキュメント・エッセイ。
海外の辺境ならではの珍道中とシビアな洞窟探検の様子がユーモア満載で楽しめる。
現代の探検 第2号
山と渓谷社 1970年
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リアルタイムの探検と冒険に特化した稀有なる定期刊行雑誌だった「現代の探検」だが、この第2号には、あの関西大学探検部による数次にわたる青海千里洞探検調査の貴重な記録が特集されている。
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