キンランとギンランは、そもそも花の色も草の大きさも違うので判ると思いますが、ややこしいのがギンランの兄弟たち。
「ギンラン」「ササバギンラン」「クゲヌマラン」、そしてほとんどありませんが「ヤビツギンラン」。
いずれかを見極めるのに決め手となるのが、花の「距」と、葉の形状です。
「距(きょ)」とは聞きなれない言葉ですが、ランやスミレなどの花弁の後方に突き出た出っ張りで、普通ここに蜜を溜めています。
花粉を媒介してくれる昆虫(ポリネーター)の口に合わせていろいろな長さや形に設計されています。
ギンランの仲間では花の顎のような形に出ています。
「ギンラン」ではこれが一番長く出っ張っていて、漫画で描く三日月の顔のようです。
「ササバギンラン」では、やや短く丸っこくなっています。
「クゲヌマラン」では出っ張りはほとんど無く、かすかに顎状に角ばった感じになるだけです。
「ヤビツギンラン」は顎も全く無く、上や横と同様にスリムで滑らかです。
草体の大きさでいうと、
「ギンラン」「ヤビツギンラン」は小さく、「ササバギンラン」はかなり大きめとなり、「クゲヌマラン」はその中間という感じです。
大きさは個体差や成長の度合いで変わりますので、あくまで相対的な比較です。
そして、葉についていうと、
「ギンラン」「ヤビツギンラン」は幅が広めで長楕円形。大きさも形もちょっと「スズラン」のような印象です。
「ササバギンラン」は「笹葉」の名のように、細身で長いしゅっとした笹のような葉で花より高くなることが多いです。
「クゲヌマラン」は「ギンラン」と「ササバギンラン」の中間的な感じです。
そして、もし白い花で「ギンラン」類よりずっと大きく、丸っこい花のものを見つけたら、それは数少ない「シロバナキンラン」かもしれません。
ギンラン類は姿も花も小さく、柵の中の方にあると特徴が見づらいので、双眼鏡での観察もオススメです。