Outdoor (山と渓谷社)

Outdoor (山と渓谷社)

Outdoor (山と渓谷社)
Outdoor (山と渓谷社)

言わずと知れた、日本最初の本格アウトドア雑誌。創刊は1976年。

バックパッキングが日本にやってきて、登山以外のもっと幅広い自由なアウトドアスポーツ、アウトドアライフの概念がようやく定着し、「アウトドア」の言葉がやっと落ち着いてきたころの雰囲気を漂わせているこの手元の号は、第6号の1979年秋・冬号。

特集はコールドウェザー・キャンピング。
バックパッキング、クロカンスキー、フライフィッシング、バードウォッチング、カナディアンカヌー、スノーシューなど、現在主流となっているアウトドアスポーツを網羅しているのは流石だ。
もっとも、受け皿がこの1誌しかなかったのだが。

今見ても、XCスキーのカタログと技術の特集はすごく力の入ったものだ。

また、このころの特筆すべきはエコロジーライフに関する真剣な記事が多いこと。
オルタネイティブ・テクノロジー、ソフト・テクノロジーに関する記事がすごく充実しているのだ。

逆にいえば、何十年も前から提唱され続けているライフスタイルが20世紀末になっても、さらには21世紀になっても未だに定着しないということなのか・・・

山と高原 (朋文堂)

山と高原 (朋文堂)

山と高原 (朋文堂)
 昭和32年8月号

「朋文堂」といえばあの涸沢ヒュッテを経営し、戦前から、この山と高原を出版してきた登山界の重要出版社です。
手元にある山と高原は、古書店で購入した昭和32年の8月号で、薄いながらもたいへん内容の濃い本格登山専門誌です。
副題に「山とカメラの雑誌」とあるだけに当時の雑誌としては写真ページも多いようです。
流石に昭和32年の本となると、登山ルートそのものの本質はさほど変わらないものの、交通手段や用具などはだいぶ違って興味深いものがあります。
まだ黒部ダムが存在しない黒部峡谷下の廊下や、ロープウェイが存在しない宝剣岳などの紀行を今読むのも楽しいものです。
そして筆者としては一番面白いのは、登山用品の広告!
今もお馴染みのあの店この店、メーカーや問屋も多いですが、殆ど聞いたことも無いお店やブランドが多くて面白いです。
(筆者はこの1年前の生まれです)
アイデア・グッズの新製品広告なんかも多くて、いかにも当時の一般登山界が活気を帯びていて楽しい感じですね。
この朋文堂では自社で登山用品の通販を行っていたので、誌上に販売価格表が掲載されているため当時の相場がよく判ります。
また、この時代の特徴として、ハイキングプランを提案する鉄道会社の広告も目につきます。
ニュース欄にはヘルマン・ブールのオーストリア隊がブロードピークに登頂成功、とか立山の室堂までジープが通れる道ができたニュースとか。
書評コーナーには上田哲農の「日翳の山ひなたの山」が新刊で、新田次郎が推薦していたりして時代を感じます。
黄ばんだ紙に活字だけの古い記事を読んでいると、最近のアウトドア誌などよりも山に行きたい気がしてくるから不思議です。

死に山:世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相

死に山:世界一不気味な遭難事故《ディアトロフ峠事件》の真相
(ドニー・アイカー著、安原和見訳、河出書房新社)

1959年2月、ソ連のウラル山脈の雪山で男女9人の若者が全員死亡する遭難事件が起きた。

捜索隊が発見した遭難の状況があまりに不可解だったのと、当時の冷戦下のソビエトの体制もあり事件は闇の中となった。

そしてソ連が崩壊し、インターネット時代となってから、この事件は再度脚光を浴びることとなる。

過去の不可解な事件で情報が少ないこともあり、雪崩説から始まって野生動物や現地人による襲撃とか、果てはUFO犯人説や軍事機密による隠蔽説まで飛び交った。

この事件を知り、大いに興味を持った著者はロシア現地に赴き、今も残る関係者の証言や資料を丹念に追跡し、ついに自然現象から謎を解明する新説を打ち出す。

本のタイトルからして「トンデモ本」の類かと思ってしまうが、実際には逆で、むしろ懐疑主義的というか常識的な解釈を淡々と積み上げていく感じ。

そして達した最終説明は、自分としては完全に納得できない部分もあるが、なかなか良く考えられているとは思う。

当時のソ連の学生生活の実際や、地方への旅行風俗などにも興味深く触れることができる、たいへん良質なドキュメンタリー作品。

*ディアトロフ峠事件(Wikipedia)

The Meditation(平河出版)

The Meditation

創刊号:1977年秋季号。

これは全然ジャンル違いの雑誌だが、当時たいへん好きだったので掲載してしまう。
「メンタル・アドベンチャー・マガジン」というくらいで、内的な冒険・探検というテーマでもあるので(?)。

見ての通り、横尾忠則氏の表紙、あの桐山靖雄氏の本を出してる平河出版と、精神世界ファンご用達のマニアックな雑誌だ。
瞑想、密教、占星術、トリップ、武道、博物学、カバラ、音楽など、その手の記事と情報が盛りだくさんで、 独自の世界をかもし出している。
とはいえ、この手の雑誌としてはメジャーで、執筆者も横尾忠則氏をはじめ、池田満寿夫、辻村じゅざぶろう、冨田勲、ジョージ秋山、 光瀬龍、及川正通などの各氏が出ている。

本の装丁や構成には明らかに松岡正剛氏のかかわりが感じられるような作りである。

日本中を震撼させる大事件を起こして刑務所に入ってしまった、「例のおっさん」もきっとファンだったんだろうなあ。

ワンデルング  (岳洋社)

ワンデルング

創刊号:1983年4月号。

大阪の出版社による、関西地方のハイキング専門誌。

「岳人」をそのまま関西専門に作ったような内容構成と体裁で、祝創刊のコーナーに中部・北陸・関西の各県岳連が名を連ねています。

ハイキング中心とはいえ、関西の岩場の紹介や山スキーの記事など、むしろ総合山岳誌といえるかもしれません。
関西の山は知らないので、選択の「しぶさ」とかは判りませんが、地域情報に徹した作りはたいへん役に立つだろうと思います。

東京でも大きな書店でたまたま見つけただけなので、どれくらい続いていたのか、または今も続いているのか判りません。

ワイルドビュー (双葉社)

ワイルドビュー

創刊号:1977年12月号。

野性派アウトドア・マガジンといううたい文句でデビューしたアドベンチャー系アウトドア誌。

短期間しか続かなかったようだが、内容的にはOutdoorとBe-Palと探検倶楽部を混ぜたような感じでけっこう面白かった。
カラー・グラフ特集で、慶良間の海・石垣、西表のジャングル、渓流などを取材した「沖縄ワイルドハンティング」。
その他、阿仁マタギ、流氷下ダイビング、アラスカのブラウンベア、有名人のワイルドクッキングなど、盛りだくさん。

こういう、あまり知られず消えていった面白い雑誌も、他にもまだまだあったんでしょうね。

アニマ  (平凡社)

アニマ

創刊号:1973年4月号

平凡社の動物専門誌・アニマの創刊号。

これは、アウトドアではなく動物雑誌だがとても思い出深いのでアウトドア関連ということで取り上げた。

竹田津実氏のキタキツネの写真の表紙が素晴らしい。
また、創刊号の特集も竹田津氏によるキタキツネの記録だ。
連載として始まった、中西悟堂氏の「愛鳥自伝」は貴重な文章である。
また、途中連載された、手塚治虫氏のマンガ「動物つれづれ草」なども今となっては貴重な連載だった。
各回、掘り下げた特集テーマがあり、たいへん内容の濃い雑誌だった。

創刊から数年に間は、完全会員制の雑誌で、書店での一般販売は一切していなかったから、 この創刊号はけっこう貴重ではないだろうか。

フィールド ギア (徳間書店)

フィールド ギア - 徳間書店 -
創刊号:1993年5月号。

フィールドギア 創刊号

徳間書店の「RVマガジン」から独立して新創刊した、キャンプとアウトドアのグッズ・マガジン。

グッズ・マガジンと言いきっているだけあって、お座なりなカタログページではなく、編集部自前の徹底したフィールドテストやインプレッションにこだわった記事が新鮮でとても濃い情報として価値がある。
取材には相当な手間がかかったことだろう。

オートキャンプ全盛期には、異常に濃くて細かいオートキャンプグッズ情報が満載で、読むのがイヤになるくらいの情報量だった。

ところが、いつの間にかメインがパソコンやビデオやカメラなどの「非フィールド」のグッズに移ってしまい、 何の雑誌だか、よく判らない状態になってしまった。

ポカラ (ポカラ出版)

ポカラ -(ポカラ出版)山と渓谷社-
創刊号:1996年秋・冬号。

ポカラ 創刊号

冒険と旅をテーマに、それに関わる「人」に主な焦点をあてて構成される「人間ドラマ誌」。

昔あった、「現代の冒険」の復活ともいえる、ビジュアル系、カタログ的アウトドア誌の対極にある雑誌だ。

創刊号の特集は、関野吉晴氏のグレートジャーニー、浅井慎平氏+池内紀氏+椎名誠氏の座談会、 ヒマラヤ越えのアネハヅルの話、中国の野人、地平線会議の歴史など、幅広い探検家・冒険家ご用達のような内容構成で、とても地味だが内容の濃い雑誌である。

販売元は初めは「山と渓谷社」だが、途中から「星雲社」に替わっている。

こういう雑誌が地道に永く続いて欲しいものであったが2001年ごろ休刊。

探検倶楽部 (青人社)

探検倶楽部 – 青人社 –
創刊号:1995年7月号。

探検倶楽部 創刊号

青人社の「おとこの遊び専科」別冊となっている、ちょっと他になかったタイプのアウトドア誌。

海、山、カヌー、自転車、郊外を問わず、探検・冒険に関する記事がやや脈絡なく並ぶ、期待の怪作雑誌?

インタビュー記事にしても、立松和平やローリー・イネステーラーなどは当然だが、みうらじゅんとか高田万由子とかは普通出てこない人でしょう。
この、ややごった煮風の、何でもあり風の内容と、他の大手OD誌と比べてやや安っぽい怪しい感じがとてもいい味を出していた。

猫仙人も登場したことがあり、先行きに大いなる期待と不安を感じさせる雑誌だったが、残念ながら数号にして不安が現実になってしまいました。

その後。だいぶたってから、山と溪谷増刊ということで「探険倶楽部 AGAIN」として一瞬復刻されました。