針ノ木岳
Outdoor (山と渓谷社)
Outdoor (山と渓谷社)
言わずと知れた、日本最初の本格アウトドア雑誌。創刊は1976年。
バックパッキングが日本にやってきて、登山以外のもっと幅広い自由なアウトドアスポーツ、アウトドアライフの概念がようやく定着し、「アウトドア」の言葉がやっと落ち着いてきたころの雰囲気を漂わせているこの手元の号は、第6号の1979年秋・冬号。
特集はコールドウェザー・キャンピング。
バックパッキング、クロカンスキー、フライフィッシング、バードウォッチング、カナディアンカヌー、スノーシューなど、現在主流となっているアウトドアスポーツを網羅しているのは流石だ。
もっとも、受け皿がこの1誌しかなかったのだが。
今見ても、XCスキーのカタログと技術の特集はすごく力の入ったものだ。
また、このころの特筆すべきはエコロジーライフに関する真剣な記事が多いこと。
オルタネイティブ・テクノロジー、ソフト・テクノロジーに関する記事がすごく充実しているのだ。
逆にいえば、何十年も前から提唱され続けているライフスタイルが20世紀末になっても、さらには21世紀になっても未だに定着しないということなのか・・・
サバイバル・マガジン (KKワールドフォトプレス社)
サバイバル・マガジン
-KKワールドフォトプレス社-
マニアックなおたくっぽい作り方は、流石にあの、monoマガジンで作っただけある。
1986年創刊の季刊誌で、monoマガジン別冊となっている。
手元の本は第3号で、特集:サバイバル・シミュレーション。
バカンスに出かけた男がアクシデントに巻き込まれ、無人島に漂着したり、山中に迷い込んだり、ジャングルで迷ったりするシチュエーションの中で、手持ちのサバイバルナイフや小道具で活路を見出すという笑える設定。
本全体のつくりは、ミリタリー系趣味とアウトドア趣味の融合で、読んでは結構楽しめるものである。
まさに「ランボー」や大藪春彦の世界である。
インタビューでは、北極点から帰ってきた和泉雅子、パリ・ダカールの夏木陽介、アルピニストの長谷川恒男、そしてあの油井昌由樹氏や赤津孝夫氏あたりはいかにもmonoマガジン系らしい。
また、グッズ紹介は登山用品とサープラス放出品のややミスマッチな取り上げ方がいい味をだしていた。
数年間は続いていたのだろうか、けっこう好きで何冊か買っていた。
山と高原 (朋文堂)
山と高原 (朋文堂)
「朋文堂」といえばあの涸沢ヒュッテを経営し、戦前から、この山と高原を出版してきた登山界の重要出版社です。
手元にある山と高原は、古書店で購入した昭和32年の8月号で、薄いながらもたいへん内容の濃い本格登山専門誌です。
副題に「山とカメラの雑誌」とあるだけに当時の雑誌としては写真ページも多いようです。
流石に昭和32年の本となると、登山ルートそのものの本質はさほど変わらないものの、交通手段や用具などはだいぶ違って興味深いものがあります。
まだ黒部ダムが存在しない黒部峡谷下の廊下や、ロープウェイが存在しない宝剣岳などの紀行を今読むのも楽しいものです。
そして筆者としては一番面白いのは、登山用品の広告!
今もお馴染みのあの店この店、メーカーや問屋も多いですが、殆ど聞いたことも無いお店やブランドが多くて面白いです。
(筆者はこの1年前の生まれです)
アイデア・グッズの新製品広告なんかも多くて、いかにも当時の一般登山界が活気を帯びていて楽しい感じですね。
この朋文堂では自社で登山用品の通販を行っていたので、誌上に販売価格表が掲載されているため当時の相場がよく判ります。
また、この時代の特徴として、ハイキングプランを提案する鉄道会社の広告も目につきます。
ニュース欄にはヘルマン・ブールのオーストリア隊がブロードピークに登頂成功、とか立山の室堂までジープが通れる道ができたニュースとか。
書評コーナーには上田哲農の「日翳の山ひなたの山」が新刊で、新田次郎が推薦していたりして時代を感じます。
黄ばんだ紙に活字だけの古い記事を読んでいると、最近のアウトドア誌などよりも山に行きたい気がしてくるから不思議です。